佃煮業界、再編か 民事再生法の野村佃煮 ブンセンがスポンサーに

2月に民事再生法の適用を申請した野村佃煮(京都府宇治市)のスポンサーに、ブンセン(兵庫県たつの市)が決まった。新会社を設立し、事業譲渡を受ける予定。社名は引き継ぐとしている。

野村佃煮は1931年創業の老舗で、佃煮・惣菜を製造し百貨店やスーパーに販売するほか、直営店も展開。ピーク時は売上高が50億円を超えたが、百貨店の低迷やコロナ禍で土産物の需要が落ちたことなどが影響し減少していた。負債総額は関連会社の東京野村と合わせ45億円。

佃煮は長年“ご飯のおとも”として親しまれてきたが、コメ離れとともに市場も低迷。ただ、コロナ禍では内食が浸透し、最近は物価高でも価格が安定している米飯の見直しが進むなど、回復の兆しも見られた。

だが、長期的にはコメの消費量が再び増えるとは考えにくく、メーカーは米飯以外の新たなメニューの提案などに注力してきた。

一方、佃煮の主原料である昆布の供給量は年々減少し、価格は高止まり。高騰どころか、不漁のため手に入らなくなった小魚もあるなど、水産物を中心とした原料事情は厳しい。ある経営者は「佃煮売場そのものが縮小され、特に昆布以外を原料とした商品が大きく減っている」と指摘する。

副資材や物流費、人件費の高騰に見舞われているのは他の食品カテゴリーと同じだが、製造に人手のかかる佃煮や惣菜は深刻さを増す人員不足の影響をもろに受ける。効率化のための設備投資が容易でない中小企業が多く今後、再編が進む可能性もある。

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