イオンPB「トップバリュ」では、酒類の価値追求に力を入れる。ターゲットとするのが、ミレニアル世代とZ世代(=MZ世代)だ。「コロナ禍を経て、家飲みのライフスタイルが定着。これはコロナ前に戻ることはないと分析している」と語るのは、イオントップバリュの森常之副社長=写真左から2人目。とりわけ価値観が多様化するMZ世代に向けた商品開発を強化する方針だ。
家飲みの4割超を占めるビール類でも、ぜいたくな時間をじっくり味わう“ご褒美ビール”の需要が拡大しているとみる。昨年3月に発売した「トップバリュ プレミアム生ビール」(350㎖缶/188円、500㎖缶/248円)は、自宅でも本格的な生ビールを味わいたいとのニーズに応えて開発。発売から約半年で1千万本を販売した。
「飲みやすいバランスのとれたビールという評価の半面、ビール好きの方々には、もう少しとがった味のほうがいい、のどごしや苦みがほしいという声があった」(森氏)。
そこで7月25日からは、装いも新たにリニューアル発売。ドイツ・ハラタウ産の希少ホップ100%使用に切り替えたほか、「ヨーロピアンホップ製法」を新採用。麦芽100%のおいしさはそのままに、華やかな香りと飲みごたえを実現した。「ビールの新たな歴史がここに始まったと思っている」(森氏)という自信作だ。
環境保全や持続可能性を追求する「トップバリュ グリーンアイ」にも、酒類カテゴリーの商品が初登場。国際有機認証機関のエコサート認証を取得した「トップバリュ グリーンアイオーガニック オーガニック・サングリアスパークリング」(レッド・ホワイト/280㎖ボトル缶/398円)を7月25日から発売した。スペイン産ブドウで造られたワインをベースに、柑橘類などによって果実感を強調している。
森氏によれば「サングリアも、酒離れが多いMZ世代をかなり意識した商品。サイズ的にも飲みやすくした」といい、この世代の意見を参考に開発。デザインも従来のものとは一味違ったものにしたという。
あえて酒を飲まない生活を選択する「ソバーキュリアス」の人々も、MZ世代では増加傾向にある。今秋には、この層に向けた商品の発売も予定していると森氏は明かした。