イオンは25日、首都圏を地盤に展開する大手食品スーパーいなげやを連結子会社化すると発表した。2023年11月を目途に、出資比率を現在の17%から51%に引き上げる。2024年11月を目途に、いなげやはイオン傘下のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)の100%子会社となり経営統合する方針だ。
食品スーパー事業は、コロナ禍の巣ごもり需要の反動や原材料・水道光熱費の高騰により足元の経営環境は厳しさを増している。経営統合により、PB商品や商品共同調達、地域出店戦略、ネットビジネスなどでスケールメリットを最大化する狙いがある。
いなげやは、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に食品スーパーを132店展開、営業収益は2千514億円(2022年3月期)。USMHとの経営統合により売上高は単純合算で約9千600億円、店舗数は660店舗を超え、USMHが目指す「売上高1兆円・1千店舗体制の構築」に大きく近づくこととなる。
この日都内で記者発表したイオンの吉田昭夫社長は、「首都圏の食品スーパーは今後も成長が見込まれる有望なマーケット。いなげやは東京では23区外に店舗が集中しており、23区内にドミナント出店するマルエツとの商圏重複はない。グループとして、首都圏における店舗基盤・市場シェアの更なる拡大は可能」としたうえで、「こうしたスケールメリットを最大限活かし、デジタルやPB商品開発、人財、決済インフラなど様々な面でグループシナジーを実現する。首都圏における強いSM連合体を創っていきたい」と意欲をのぞかせた。