ど真ん中へ直球勝負「サントリー生ビール」登場 飲用実態を徹底調査、時代に寄り添うブランドに

成熟した日本のビール市場で、新たな定番の座をつかめるか――。4月4日から登場する新ブランド「サントリー生ビール」。トレンド変化を踏まえた「これからの時代のビール」として、人々の生活に浸透を図る。

「昨今の酒離れ、ビール離れに対して、市場の活性化を模索してきた。今回、自信を持ってお届けできる商品が完成。いよいよ満を持して、最大のボリュームゾーンであるスタンダードビールのど真ん中に商品を投入する」。28日の発表会で、サントリービールカンパニーの西田英一郎社長が意気込んだ。

同社ビールカテゴリーでは、プレミアムビール「ザ・プレミアムモルツ」を筆頭に、糖質ゼロの機能系「パーフェクトサントリービール」、炭酸で割って飲む「ビアボール」をラインアップする一方、スタンダードビールの「ザ・モルツ」(缶製品は3月で終売)は近年販売量が縮小し、この領域が手薄となっていた。10月の酒税改正によるビール税率引き下げもにらみ、競合ひしめく市場のど真ん中へ大型ブランド投入で直球勝負を挑む。

「ビアボール」に続く第2弾として開発を手掛けたのは、一昨年に新設した「イノベーション部」。今回も既存の概念にとらわれない挑戦を行った。

ビールユーザー1万人の飲用実態を徹底調査。浮かび上がったのは、ビールに求められる不変のおいしさと、昨今の飲み方変化だ。

「時代を経ても変わらないのは、ビールが心底おいしいと実感する瞬間。最初の一口目の飲みごたえこそが、お客様が求めるど真ん中のおいしさ。一方で、見過ごせない変化も。ビール1本の飲用時間は4年前より6分増加した。コロナ禍を経て社会環境が変化し、夜遅く帰宅してとりあえず冷蔵庫前で1本開けていた方も、早く帰宅して家族と食卓を囲むように。飲みはじめから飲み終わりまで、ずっとおいしいことが重要になっている」(マーケティング本部 竹内彩恵子氏)。

厳選された麦芽に加え、コーングリッツを一部使用。煮沸を3回行い麦芽やコーンのうまみ・特長を引き出す「トリプルデコクション製法」の採用で“グッとくる飲みごたえ”と“かつてない飲みやすさ”を両立したという。

今日の自分、ビールで全肯定

CMに出演する上白石萌音さん、山﨑賢人さん、オズワルドの2人(28日の発表会で) 「サントリー生ビール」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
CMに出演する上白石萌音さん、山﨑賢人さん、オズワルドの2人(28日の発表会で)

「何よりヒントになったのが、ユーザーがこぼした一言。『いいことも悪いことも、いろいろあっても何もなくても、ビールを飲む時間は今日が無事終わることの確認時間』。これからの時代のビールとは、一日の終わりに今日の自分を全肯定してくれる、明日への活力になる存在だと思う」(竹内氏)。上白石萌音さん、山﨑賢人さん、坂口憲二さんらが出演するTVCMでも、そんな場面に寄り添うブランドの世界観が表現されている。

「サントリー生ビール」は当初は家庭用の缶(350㎖/500㎖)のみだが、業務用の樽もテスト展開を図りながら検討。店頭での想定価格は350㎖缶が税別200円前後と、「プレモル」(250円前後)よりも低い設定だ。

年内の販売目標は300万ケース。年間ベースでは400万ケースと、23年度のビール販売計画に対して2割弱を占める。

東京・名古屋・新大阪の新幹線ホームには、ポップアップ店舗を5月7日にかけてオープン。同品とともにおつまみも販売し、ショップ全体をブランド一色に染め上げる。発売日にかけては六本木ヒルズと阪急梅田駅構内にも飲用体験ができるスペースが登場するほか、コンサートホール「Zepp」での販売や100万人規模のサンプリング、アパレルブランド「SOPH.」とのコラボ商品など多彩な企画で盛り上げる。

EU農産品  - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)