カゴメ 山口社長「早期に成長基調に乗せる」 飲料は「色」で情緒価値訴求

カゴメは、23年度の国内加工食品事業は価格改定による一時的な売上数量の落ち込みで減収を、事業利益も価格改定を上回るコスト上昇を見込んで減益を予想。そこで「今期は販売数量の減少による減益リスクを増益のチャンスに変えられるよう、価格改定後の需要喚起策を機動的かつ効率的に投入し、早期に成長基調に乗せる」。これは3日に開催したオンライン決算発表で山口聡社長が明らかにしたもので、各分野で思い切った施策に打ってでる。

飲料では、「ほかの健康飲料には真似ができない独自価値を際立たせ、『野菜を補うことができる』以上の価値を浸透させる」。具体的には野菜の彩り鮮やかな色に着目し、明るく、前向きなポジティブな情緒価値を、野菜の機能価値とともに発信する(3月発表)。さらに「野菜生活100」の独自価値を強化するため野菜汁を60%から70%にバリューアップ。「あざやかな野菜の色」をテーマとした大規模プロモーションや、美容やリラックスニーズを獲得するための新製品や販促も計画し、「畑うまれの野菜ミルク」でも新製品を投入、新領域を拡張する。

食品は、節約志向の高まりによる内食・中食の増加に対応し、「スパイシーカリーケチャップ」や「旨辛ホットチリケチャップ」など新たなバリエーションケチャップを発売。オムライスの需要喚起イベントとして「オムライススタジアム」を開催し、解凍せずに調理できる「イタリア産グリル野菜」により人手不足や食品ロス問題に対応する。

カゴメの2022年12月期の売上収益は前期比8.4%増の2千56億円、事業利益は9.4%減の128億円、営業利益は8.9%減の127億円と増収減益だった。売上は国際事業が円安や米国の回復などにより増収だったが、利益は価格改定を上回る原料価格の高騰などが響いた。

飲料売上は0.6%増の759億円。利益はキャンペーンやプロモーション投下、原料価格高騰により17.6%減の67億円。通販は広告宣伝の顧客獲得効率の低下により野菜飲料が前年を割ったが、サプリメントやスープが好調で売上は0.4%増の135億円。利益は原材料は高騰したが、配送効率の向上などで6.9%増の15億円。食品ほかは昨年4月から家庭用、業務用の一部トマト調味料の出荷価格を改定。「焼きケチャップ」など情報発信したが、価格改定の影響で減収。業務用は外食需要の回復と価格改定による販売単価の上昇も相まって増収。国内農事業は市況が上回ったことにより、売上は0.4%増の95億円、利益は構造改革で56.9%増の4億4千900万円。その他事業の売上は6.5%増の22億2千100万円、事業損失は9千100万円(前年同期は事業損失6千400万円)だった。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)