酢漬 追い付かない値上げ 業務用ガリと中国らっきょう

酢漬業界では今年、製品価格の適正化が進められたが、コストアップに対してまだまだ追い付いていない。現時点で採算が合っていない業務用ガリや市販の中国らっきょうは、早急にもう一段の価格適正化が必要だ。為替が大幅に円高へ振れない限り、来年も価格適正化が図られる見通しだ。

業務用ガリは、今年の海外産原料が山東省、中国南部、タイの三つの産地でほぼ同値になるという珍しい現象が起きた。山東省産はフレッシュ生姜の値上がりに伴い、漬物向けの塩蔵生姜も価格が上昇した。

山東省産は価格上昇に加えてガリ用が少なく、契約以外はほとんど在庫に余裕がない状況だ。日本の生姜漬メーカーは今年ここまでも業務用ガリの価格適正化に取り組んできたが、山東省産原料を使用した製品に関しては早急にもう一段の値上げが必要である。

中国メーカーは来年2月から中国完成品を値上げする。同時期の値上げに向けて、改定作業を進める日本の有力メーカーもある。改定時期、改定率はまちまちだが、原料価格に加えて諸経費の上昇もあり、製品価格の適正化は避けられない。「いつまでも大手取引先の緩衝材ではいられない」と吐露するメーカーもあり、来年も粛々と価格適正化が図られる見通しだ。

らっきょう漬も値上げが追い付いていない。21年産の中国原料は収穫量が激減し、過去最高値となった。これを受けて有力メーカーは今春、市販の中国原料使用品について容量ダウンによる実質値上げを行った。

今年の中国原料は豊作傾向となり、漬け込み量は3万tを超えた。現地での生価格は下がったが、調味料、包材、燃料費、人件費など製造に関わる諸経費が上昇。何よりも円安の影響が大きく、為替だけで25~30%上昇している。

今秋の棚替え時に有力メーカーは中国原料品の価格改定を実施した。今後も製造コストが下がる見込みはないため、コスト増分を吸収するのに、ある程度売値を上げる必要がある。値上げにより逆鞘の大ダメージは若干中和されたが、コスト増の吸収にはまだ足りない。

売場のメーン商品である170gの中国らっきょうは、現状価格では採算に合わない。年明け以降も為替が大幅に円高へ振れることがなければ、来春の棚替え時にもう一段の価格適正化が図られるだろう。