冷凍食品自販機「ど冷えもん」〈下〉 組み換え可能な収納棚で実現 コールドチェーン改革に挑むサンデン・リテールシステム

サンデン・リテールシステムは、冷凍食品の個食ニーズが高まっていることなどに着目し、冷凍食品自販機「ど冷えもん」を21年1月末に販売開始した。最大の特長は、業界初となるマルチストック方式を採用したことだ。4種類の収納棚を自由に組み合わせることで、従来難しかった複数の梱包形式(大型の冷凍食品、サイズの異なる製品など)を1台で同時に販売できるようにした。芳賀日登美広報室長は「いつでもどこでもご自宅の近くでおいしい冷凍食品が買えれば、生活者の皆さまの利便性に貢献できる」との想いがあったと話す。

1号機が餃子の直売店、2号機がラーメン店に設置され、ほどなくしてメディアへの露出が増加、SNSなどでの情報拡散も追い風となった。その後は飲食店や食品卸のネットワークで好意的な口コミが広がり、21年9月末に1千台超、22年3月末に3千台超、7月末に4千台超、直近10月末に5千台を突破した。ちなみに、昨年秋には47都道府県への進出が完了している。

「設置先は当初の飲食店から駐車場、商業施設、駅ナカ、ロードサイドなどあらゆる場所になってきた。最近は『ど冷えもん』の販売代理店が積極的に開拓し新たな可能性を広げてくださっている。また、地方の人気外食店が東京にアンテナショップを出す目的で設置するケースも少なくない。実店舗に比べれば低コストで出店できるのがメリット」(芳賀広報室長)。

一方、「ど冷えもん」は第1弾をリリースして以降、ユーザーのニーズに応える形で新バージョンを続々と投入している。「ど冷えもん NEO」(21年8月)は、冷凍と冷蔵を切り替えられる優れもの。冷凍食品のみならず、屋外の自販機でチルド食品を販売できる画期的な機能を実現した。同年12月には薄型タイプの「ど冷えもん SLIM」を上市。スペースが限られる飲食店も設置しやすくなった。直近は「ど冷えもん WIDE」(写真・22年10月)。業界最大サイズを誇り、搭載メニュー数を既存の11種類から最大15種類まで対応可能とした。そして23年1月11日から「ど冷えもん MULTI」を発売する。冷蔵商品向けの自販機で、シリーズ初となるマルチエレベーター(可動式収納棚)を採用、販売商品の自由度がさらにアップした。

当面の方針について、芳賀広報室長は「消費者のより豊かな食生活に貢献していきたい」との基本的な考え方を示した上で、「当社は温度を管理・制御する技術に強みを持つ。『ど冷えもん』はそれを生かした事業の一つ。今後は日常生活で一段と大きなインパクトや変化を感じていただける事業も検討中。コールドチェーンの改革に取り組み、食品に関わる企業の新たなビジネスチャンスにつながるきっかけをつくっていきたい」と構想の一端を話した。

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