オーツミルク市場が間口(飲用層)・奥行き(1人あたりの飲用杯数)ともに広がり急拡大している。
これには、植物性飲料が拡大している世界的な潮流に加えて、日本でオーツミルク市場を創出し、現在、金額ベースで約7割のシェアを握る「Alpro(アルプロ)」(ダノンジャパン)のマーケティング活動によるところが大きい。
「アルプロ」では、栄養とおいしさの訴求に重きを置きトライアルを促す活動を展開している。
「アルプロ」の売上は非公開のため、あくまで推定だが、市場規模は2021年に前年と比べ7倍ほど拡大し15億円前後とみられる。
「アルプロ」は2020年4月に関東エリアの1都6県を中心に販売開始され、同年10月に全国へ販路を拡大。
ダノンジャパンのマーケティング部マーケティングマネジャーの福田マルシオ氏は「約2年半、ずっと倍増で成長している。これには新しいユーザーをどんどん取り入れていることと配荷を拡大していることが物凄く貢献している」と振り返る。
オーツミルクは牛乳や豆乳などと比べると市場規模は小さいものの、清涼飲料水を含めたドリンク全体の中で最も高い伸びをみせており、飲料最大手のコカ・コーラシステムも清涼飲料水以外の新領域の開拓として挑み続ける。
コカ・コーラシステムは昨年3月に販売エリアを絞り込んでスモールスタート。1年半が過ぎチャネル特性などを見極めて、今年9月26日から「おいしいオーツ麦ミルク by GO:GOOD」を全国展開して大手コンビニを主要拠点に発信強化している。
日本コカ・コーラの高木正子マーケティング本部ニュートリションカテゴリーシニアマネジャーは「コンビニチャネルへの導入はTVCMと同レベルの認知獲得効果があるとのデータもあり、波及効果が見込める。一度トライアルしていただければ、おいしいのでリピートしていただける。まずはコンビニのカスタマーでしっかり実績をつくりながら認知とトライアルを獲得し、それをベースに広げていく」との考えを明らかにする。
オーツミルクは成長市場のため新規参入が相次ぐ。
直近ではスウェーデンで誕生し世界20カ国以上で展開するグローバルブランド「OATLY(オートリ―)」が9月に上陸。
六甲バターはシンガポール発のオーツミルク「OATSIDE(オーツサイド)」で参入。Amazonや一部のコーヒーショップで展開しているほか、今後は業務用を中心に、家庭用も量販店など全チャネルで全国展開する。
国内ブランド勢では、カゴメが新ブランド「畑うまれのやさしいミルク」を立ち上げ「まろやかソイ」とともに「なめらかオーツ」を3月から発売している。
「なめらかオーツ」は厳選したオーツ麦をまるごと使用し、野菜・果実の独自配合によりミルクのようにコクがあり食物繊維がしっかりとれる植物性飲料に仕立てられている。
加えてカゴメは「野菜生活Oats+香ばしオーツカフェ」もラインアップ。「Oats+」は全粒オーツ麦を皮まで使用し、植物性たんぱく質や大豆イソフラボン、ポリフェノール、食物繊維などの健康素材が摂れることが特徴となっている。
マルサンアイは「オーツミルク」をリニューアルし3月に「オーツミルククラフト」として新発開始し大容量サイズを追加した。
同商品は、原料のオーツ麦をマルサンアイの特許製法「穀物さらさら製法」を導入し、オーツ麦由来のやさしい甘みを継承しつつ、のど越しがよくクセのない柔らかな味わい、ミルキーホワイトな色合いへと改良されたものとなる。
原材料はオーツミルクと安定剤の2つのみで、香料や油を添加していない点も特徴となっている。
3月には、スジャータめいらくも「スジャータ オーツミルク」を新発売。
同商品は、牛乳に近い物性を目指し既存のオーツミルクより濃厚な配合となっているという。「糖化による甘み、脂質の割合、各種配合を工夫して牛乳のような味わいになっている」(スジャータめいらく)と胸を張る。
オーツ麦のみを原材料としオーツミルク市場の中で異彩を放つのは、大塚食品が4月に新発売した「スゴイオーツミルク」。摂取できる栄養成分として食物繊維を謳っているオーツミルク商品が多くある中で、鉄分が摂れることと低脂質であることをパッケージで訴求している。