11月の第4木曜日の翌日に当たるブラックフライデーに向けてオンラインでの予約販売を含めて商戦が活発化している。
今年は、物価高や電気代高騰で生活防衛意識が高まる厳しい消費環境での商戦となり、大手流通のイオンリテールとイトーヨーカ堂では「贅沢」の幅で違いが浮き彫りになった。
「生活防衛への意識を価格に反映した」と語るのはイトーヨーカ堂の篠塚麻友実販売促進部総括マネジャーで、山形牛や本鮪をはじめプチ贅沢な食品を取り揃えつつも、アパレルでは5000円以下の手頃な商品をメーンに品揃えする。
一方、イオンリテールは超特大毛がにや松阪牛といった上質な食材から100万円を超える腕時計や貴金属など高級品までラインアップ。
イオンリテールの西垣幸則デジタル・営業推進担当取締役常務執行役員は「百貨店で売れているものも取り込んで成長を目指す」と意欲をのぞかせる。
消費者の生活防衛意識がますます高まりをみせる反面、イオンリテールはクリスマスや年末年始を迎えるに当たり“憧れの商品を手に入れたい”という消費マインドの変化にも着目し、消費の二極化に対応していく。
二極化の中でも今年は高額商品が加速するとみており、高まる国内旅行需要にも注目して外出に最適なアウターやアウトドア用パーカー、キャリーケースなども用意。
「今年のお盆やシルバーウイーク最終日の航空便の国内旅客数はコロナ禍において最多とも言われており、国内の移動需要はますます拡大傾向にあると思っている。10月11日から全国旅行支援の後押しもあり、さらなる伸長を見込んでいる」と述べる。
イトーヨーカ堂も手頃な商品をメーンに品揃えしつつも、贅沢感に期待をにじませているとみられる。
前出の篠塚氏は「お客様のマインドとして年末に向かうと今年一年のご褒美として買い物を楽しみ、おいしいものを食べたいという気持ちもあるとみており、お得感はもちろん提供したい価値ではあるが、普段扱っていないお酒や特別感も楽しんでいただきたい」とコメント。
食品業務部の高山仁志氏も「全体のコンセプトとして“ちょっと贅沢を”というのがあり、特選品という形でちょっといいものを中心に展開していく。その中で、大容量商品では通常買う商品をちょっとお得に買えるようにして節約志向を捉えた中で企画を組んでいる」と語る。
そのほかの動きとしては、髙島屋は自社のオンラインストアで23日から初開催。「百貨店ならではのラインアップとして希少価値のあるモノ・コト企画など様々なアイテムを約1500点取り揃え“特別な5日間”をお客様へお届けする」(髙島屋)という。
最大80%オフなどお得感を打ち出すのは三井不動産商業マネジメントで、「三井ショッピングパーク ららぽーと」18施設などで18日から「ららぽーと BLACK FRIDAY」を開催。