想定外のターゲット

日本一過酷な山岳レース「TJAR」がこの夏、開催された。富山県魚津市から静岡市の大浜海岸までの415㎞、3千m級の山が連なる日本アルプスをも縦走する。優勝した土井陵選手はレースレコードを大幅に上回る4日間と17時間33分でゴールした。

▼周囲を驚かせたのはその速さもさることながら、超ミニマムな装備だ。素早く移動するためには荷物の軽量化が必須だが、食事や補給食は疎かにできない。過酷な状況を乗り切るためのカロリーは膨大で、通常なら米やパンを想像するが、土井選手の食事は主に「柿の種」と「カロリーメイト」だったという。

▼「柿の種」は近年、登山の行動食として人気だ。軽くて持ち運びがしやすい、腹持ちがよく、糖質と脂質、塩分が同時に摂取できることが理由に挙がる。価格が手ごろで、スーパーやコンビニで手軽に入手できる点も後押ししている。おつまみのイメージが強い菓子が、登山愛好家のエネルギー源になっているとは思いもよらなかった。

▼世の中には、想定外のターゲットに売れている商品が多数ある。それは目新しさや話題性に限らず、既存のもの同士の意外な組み合わせにより、新たな付加価値が生み出された場合もある。

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