健康と環境意識の高まりからアーモンドミルクやオーツミルクなどの植物性飲料市場が活性化している中、大塚食品の「大塚の素材まるごとスゴイシリーズ」が異彩を放つ。
同シリーズは、2002年10月に発売開始し発売20周年の節目を迎えた「スゴイダイズ」ブランドに、今春新発売したまるごとオーツ麦飲料「スゴイオーツミルク」とまるごとひよこ豆飲料「スゴイひよこミルク」を加えたもので、植物油、砂糖、香料などを使用せずに素材のみを原材料とした点が共通の特長で、他社商品と一線を画している点でもある。
サステナブルやフードロス削減などへの関心が高まる中、大塚食品は消費者や流通企業に対して、この特長を商品とコミュニケーションを通じてアピールしていく。
子安(こやす)寛子製品部大豆飲料担当PMは「豆乳は一般的に大豆からおからを取り除いた飲料であるのに対し、『スゴイダイズ』はおからを取り除かず大豆をそのまま粉末(大豆粉)にした飲料。『スゴイダイズ』はおからを出さない、捨てないという点でも共感が得られており、このように他社とは異なる当社の考え方が浸透できればさらに拡大できる」と意欲をのぞかせる。
「スゴイダイズ」は、大豆をまるごと使用していることで、大豆たんぱくや大豆イソフラボンが摂取できる豆乳の機能価値に加えて、豆乳にはほとんど含まれない食物繊維も摂れるのが特徴となっている。
この特徴的な中身は、原料を微粉砕化・均質化し、よりなめらかな口当たりの飲料に仕上げる大塚独自の「マイクロクリーミー製法」によって実現。
同製法では、素材をまるごと使用し素材の栄養はそのままに製造工程では搾りかすも出ないことから地球環境にもやさしい製法と言える。
同製法を活用し「スゴイダイズ」ブランド全体を押し上げるものとして9月12日に新発売したのが機能性表示食品「さらっと飲めるスゴイダイズ」。
同商品は、大豆イソフラボンで「肌が乾燥しがちな中高年女性の肌がうるおいを保つ」機能と大豆イソフラボンで「中高年女性の骨の成分を維持する」機能をダブルで訴求する豆乳・大豆飲料市場で日本初となる大豆飲料。
届出表示の取得にあたっては、原料大豆に含まれる栄養成分のデータベースを活用した。
「原料大豆だけで届出表示を取ろうとすると、原料大豆の栄養成分は産地や収穫年などによって異なるため至難だが、当社は『スゴイダイズ』を20年展開している間に蓄積された原料大豆に含まれる栄養成分の情報を活用した。これにより原料大豆を厳選して機能性表示に必要な大豆イソフラボン量を担保できるノウハウを構築することができた」と説明する。
今年は、同製法を活用して「スゴイダイズ」の領域を拡大して「大塚の素材まるごとスゴイシリーズ」を創出した。
4月に新発売した「スゴイオーツミルク」と「スゴイひよこミルク」にもマイクロクリーミー製法を導入し、原材料は「スゴイオーツミルク」がオーツ麦のみ、「スゴイひよこミルク」がひよこ豆のみとなっている。
これにより「スゴイオーツミルク」は、摂取できる栄養成分として食物繊維を謳っているオーツミルク商品が多くある中で、鉄分が摂れることと低脂質であることをパッケージで訴求している。
一方、「スゴイひよこミルク」もひよこ豆を素材にした点で市場でもまだ非常に珍しく、たんぱく質・食物繊維・葉酸が摂れることをパッケージで謳っている。
「大豆に代わるものとして、植物素材でありながら、たんぱく質が摂れる素材を探してきた。大豆(豆乳)でたんぱく質が摂りたくても風味が苦手やアレルギーなどで飲めない方もいる。そうした中で、ひよこ豆は次世代のたんぱく源として注目されている素材」と語る。
2品とも濃厚な味わいであることから「スゴイダイズ」の旗艦商品「オリジナル」と同様の125mlのサイズで展開されている。
「現在、安定的に販売は推移している。植物性飲料のニーズが拡大している中で、食資源を無駄にせず環境にもやさしい“素材をまるごと使用”をアピールして育成していきたい」と意欲をのぞかせる。