イオンの第2四半期連結業績は、営業収益、営業利益、経常利益が過去最高を更新した。第2四半期純利益も前期の約4倍と回復、「グループ連結では想定通りの進捗」(吉田昭夫社長)という上期となったが、下期については「生活防衛意識の高まりを受け、価格に対する感度は日増しに高まっている。お客様の選択は、よりメリハリの効いたシビアなものになる」(同)と厳しい見方を示す。一部コンビニでの低価格PB販売など、業態間競争はさらに激化する見通しだが、「付加価値商品へのニーズも高まっている」(同)というように、価格一辺倒というわけでもないようだ。ニーズが多様化するなか、「消費者の選択に適う商品、サービスを提供していく」(同)ことで顧客の支持を獲得、通期の計画達成を目指す。(以下、吉田昭夫社長のコメント)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
上期は水道光熱費250億円増 シビアなコントロール必要に
上半期は新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の逆風を受けていた事業と追い風となっていた事業、それぞれのトレンドがクロスする期間となった。これに加え、7月上旬から新型コロナ第7波最大の波がやってきた。記録的猛暑をはじめとする天候、急速に進行した円安などの影響もあった。エネルギーコストや原材料費の継続的な上昇により、経済が停滞する中でコスト上昇が起こるコストプッシュ型のインフレが加速するなど、イオンとしても経験したことのないような複合的な要素が重なる期間となった。
先の見えないインフレが顕著になっている。家計に占める食料品や日用品といった生活必需品への出費ウエートが相対的に高まっており、お客様の生活防衛意識として、価格に対する感度が日増しに高まっている。一方、コロナ禍でできなかった活動への消費、多様化する志向を満たす商品、付加価値型商品へのニーズも高まっている。この相反する要素が入り交じったマインドに、先の見通せない不安感が重なり、お客様の購買行動はいっそうメリハリの効いたシビアなものになってくると思っている。われわれが提供するサービス、商品そのものの独自性がより重要になってくる。
今上期、原材料価格、物流費、人件費など様々なコストが上昇したが、特に大きかったのは水道光熱費、電気料金だ。上期の水道光熱費は、前年同期と比較すると約250億円弱の増加。店頭やバックオフィスの節電、エネルギー効率の高い省エネ機器への切り替え、レジまわりや店舗作業のデジタル導入など効率化を進めていたことから、販管費全体でのコントロールが効くこととなり計画内に収まっているが、下期はいっそうシビアなコントロールが必要と認識している。上期に成果を出した取り組みを継続的に行うこと、販管費全体での経営へのインパクトを吸収していく計画が必要だ。
上半期の決算数値はグループ連結では想定通りの進捗。営業収益、営業利益、経常利益はコロナ前を上回る過去最高を更新し、第2四半期純利益についても昨年度を大きく上回る水準で着地できた。営業利益、経常利益が過去最高となった理由は、限られた事業のみが利益をあげるのではなく、事業ポートフォリオのバランス、営業利益構成の変革に取り組んできた成果と考えている。下期も様々な環境変化が予想される。お客様の変化も大きくなり、いままで以上に変化するだろうと思っている。変化を予測、想定し、われわれから商品、サービスを提案していけるかが重要。マインドの変化によりお客様の選択がシビアなものとなるなか、われわれ独自価値を伝える商品、PBの重要性がいっそう高まっていると認識している。お客様に納得感のある商品、お買い物を提供していきたい。