マルサンアイが昨秋リニューアル発売した「ひとつ上の豆乳」が好調に推移している。
フルリニューアル発売後の21年10月から22年8月までの11ヵ月の販売実績は、3月1日に新発売した「調製豆乳和三盆仕立て」などのアイテムの純増効果もあり容量ベースで前年同期比約1.3倍を記録し22年9月期の年間でみても同様の伸びが予想される。
好調要因について、一瀬浩伸開発統括部マーケティング室副室長は、二種類の国産大豆をブレンドした素材そのもののおいしさを挙げ「マルサンアイでしかできないことをするというのが会社の方針で『ひとつ上の豆乳』はそのフラッグシップ商品」と胸を張る。
フルリニューアルでは、農研機構が育成した「きぬさやか」に加えて、青臭みの原因となる酵素やえぐみの強い成分を持たない同性質の新品種大豆「すみさやか」を採用。この2種類をブレンドしたオンリーワン大豆「るりさやかⓇ」を使い、コクはありながらもさらっとした味わいを実現した。
これにより4-5月に実施した調査では「成分無調整豆乳」と「紅茶」「白桃」「キャラメル」のフレーバー3品の計4品で、回答者30人の96%以上が「おいしい」と回答し、再購買への気持ちを問う設問では回答者の95%以上が「また買いたい」と回答したという。
この中で“白もの”と呼ばれる「成分無調整豆乳」については「国産大豆でこんなにおいしいなら妥当の価格」「味もくせがなくさっぱり」との声が寄せられ、3月1日から通販限定で販売している1Lサイズも「計画以上に推移している」という。
プレミアムイメージの浸透にも取り組む。
4 月にはグランドニッコー東京ベイ舞浜で「ひとつ上の豆乳」1万本サンプリングと朝食を切り口としたSNS投稿キャンペーンを実施した。
秋冬に向けては「“あなたに合う豆乳がきっとある”ということで『ひとつ上の豆乳』にとどまらず豆乳飲料を幅広く展開していく」。
新商品は「ひとつ上の豆乳」からは「豆乳飲料ココア」、レギュラータイプからは「豆乳飲料あんバター味」の計2品が9月1日から発売されている。
コミュニケーションは「ひとつ上の豆乳」でWEB動画CMや交通広告を予定。交通広告では植物性素材商品のラインアップの1つとして「ひとつ上の豆乳」をアピールしていく。
同社は昨年3月に創業70周年の節目を迎えたことを機に“大地のおいしさから、新しい幸せを。”のスローガンを掲げ、これに基づき大豆から植物性素材へと領域を拡大している。
豆乳の市場見通しについては横ばいか微増と予想。
「植物性飲料がこれだけ伸びてくると、豆乳から流入しているのも事実。店頭に並べられるアイテム数は間違いなく減っているはずだが、市場の売上は落ちておらず、当社の出荷数量も前年をゆうに超えている。あとは売場提案次第で、間口(飲用層)を拡大できれば再び2ケタ伸長できると考えている」との見方を示す。
新しい売場提案の1つとしては、常温売場への導入を提案。「常温保存できる豆乳は、有事にたんぱく質が補給できる栄養源となり備蓄商品として提案しているが、流通さまに価値を伝えきれず今後の課題としている」と語る。