「培養肉」量産化へ前進 血清使わず食品で培養可能に 日本ハム

日本ハムは4日、培養肉の量産化実現に向け、課題の一つであった培養液の主成分の動物血清を、一般流通する食品で代替してウシやニワトリの細胞を培養することに成功したと公表した。すでに国際学会で発表しており、現在特許出願している。

培養肉や代替肉は世界的に注目されている。背景には世界人口の増加や環境問題があり、2030年ごろまでにはたんぱく質の需要が供給を上回ると言われている。

動物の細胞から培養する培養肉はすでに技術的に可能だが、これまでの培養液で使用されているウシなどの動物由来の血清は動物の体から採取するため大量の血液が必要となり、高価で安定調達に課題があった。食品由来品の代替品では実験レベルでコストが約20分の1になるという。また、実験ではウシとニワトリで有効な食品成分が異なることも分かった。

今後は、まずは培養のスケールアップとして、培養皿(シャーレ)から、量産化を見据えタンク培養の技術の整備に取り組み、さらなるコスト削減を図るとともに、食品としての法整備が未確立であることも課題となっている。

同社は、今後の培養肉の量産化の研究について「細胞をいかに安価にたくさん作れるかがポイント」とした上で、「最終的には100%培養肉を目指すが、段階的に代替肉とのハイブリッドも視野に研究していく」と話している。