オリジナル商品へ傾注強める卸

産地や生産者が明確な原料を使用した乾物、ひと手間加えれば豪華な料理に仕上がる冷凍キット。卸売業が付加価値の高いオリジナル商品に力を注ぐ傾向が一段と強まっている。

▼物価上昇が続く中、価格訴求に重点を置いた小売業のPBとの違いを打ち出したいとの考えが根底にあるのは想像に難くない。「開発するには知識と労力が、それを販売するには営業力と情報発信力が欠かせない」と卸の幹部が話していた。自社商品の開発に若手社員が携わることが人材育成にもつながると力を込める。

▼とはいえ、何事も一筋縄ではいかない。「問屋根性が染みついていた」と指摘するのは地域卸の社長。残念ながらポジティブな意味の“根性”ではない。Aの商品が駄目なら、Bの商品を売ればいい。問屋だから、売る商品はいくらでもある。

▼「こうした考えが根強く、自分たちで作った商品を絶対に売り切ってやるという意気込みに欠けていた」と反省する。そして、もう一言。「メーカーの大変さを実感することができた」。問屋商売にとって、そういうことがもっとも重要なことの一つだと頷いていた。

 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)