広川・廣川社長 公の場で初の方針発表 不変なもの大切に、同時に改革を

広川(広島市)の廣川正和社長は8月23日、取引先85社が参加しオンラインで開かれた広栄会総会で、20年に社長に就任してから初めてあいさつに立ち、前期の総括や今期の方針について次の通り語った。

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2020年9月に9代目の社長に就任し、今年こそ皆さんに直接会ってお話ししたいと開催を進めてきたが、急激な感染拡大で残念ながらリモートとなった。

昨年は「変革」をテーマに、正一会長、雄一社長から私がバトンを受け継ぐにあたり、4つ掲げたことがある。1つが不変なものを大切にする。商品やサービスはアップデートしニーズも変わるが、お客様との関係は変わらない。

2つ目が不採算事業の整理。3つ目が業務の平準化。4つ目が未来への取り組み。今までと同じことをしていてはだめで、われわれに何ができるかを常に考えていく。

このうち、不採算事業については昨年7月に「こころろ横川店」、12月に岡山の「ふじうら」をそれぞれ閉店した。一般のお客様との接点はなくなったが、気持ちとしてはいったん休みでチャンスがあれば復活させたい。

また、今年7月には家庭用食品を扱う岡山支店と業務用食品を扱う食材岡山営業所を統合、新生岡山支店として稼働している。全社で「クロスセル」という合言葉を用い、既存の商品とは別のカテゴリーも新たに提案し、一緒に納入する取り組みを進めている。統合効果が徐々に表れてきた。業務の平準化も少しずつ進んでいる。

新しい事業では地域の宝探しをしていこうと、地域活性化推進室を設け「地活」の取り組みを強化した。地元の野菜や果物を食品・食材の得意先へ届け、「広川が勧めるなら」と言ってもらえるよう努める。メーカーさんにも食材を案内し、新たな商品開発もできつつある。

当社の業務はBtoBが基本だが、BtoCの取り組みも進めており、それを形にするため今年1月に楽天のECサイト「ひろっこ」を立ち上げた。まだヨチヨチ歩きだが、商品開発やパッケージ、売価設定など社員がこれまでにない経験を積んでいる。とくに尾道を中心とした瀬戸内の柑橘は好評を得ており、近日中に県産のぶどうを販売する予定。未来へ向けた取り組みの一つである。

6月に終えた87期の業績は、得意先の廃業や長引くコロナの影響もあり減収で着地した。収益は苦戦しているが、物流コストの大幅な増加に対処すべく物流改善に着手し、一定の削減効果が表れている。今後、さらなる食品と食材の共配や、3温度帯の物流改革を最重要課題として取り組んでいく。

今年5月に創業165周年を迎えることができた。取引先、先輩諸兄皆さまのおかげと感謝している。88期の始まりにあたりテーマを「始動」と掲げた。「今までは」から「これからは」へと意識を変え、私たちのあるべき姿に向け動かし始める年とする。

今期から本社内に社長室、経営企画室を設けた。食品にとどまらず、グループ全体をコーディネートする部門だ。広島・岡山支店の支店長も代わった。不変なものを大切にしながら、意識改革も同時に進めていく。

全社員が一致協力し地域に一番役立つ仕事、一番信頼をいただける会社になるよう専心努力する。皆さまの大切な商品や情報を当社の社員がしっかりと理解し、得意先に丁寧に届けることを実践する。