コロナ禍で好意度や使用頻度が向上しているレモン その価値深掘りして“悩み”にも寄り添う独自商品を開発 ポッカサッポロ

 ポッカサッポロフード&ビバレッジは、コロナ禍で一層脚光を浴びるようになったレモンの価値を深掘りして“悩み”にも寄り添う独自商品を開発するなどして2030年までの中期目標“レモン総需要2倍”を目指していく。

 レモン事業を会社全体の価値創出のドライバーにしていく考えで、コロナ禍でレモンの健康価値が浸透していることを追い風に捉えている。

 同社が全国20‐69歳男女2000人を対象に行った調査によると、2019年から21年にかけてレモンの好意度・使用意向・使用頻度は着実に向上していることが見て取れる。

 この傾向について、18日発表した古林秀彦レモン・プランツミルク事業本部オールレモン事業部長は「お客様はもともとレモンに対していい印象を持たれていたが、コロナで生活が大きく変わり、実際にはクエン酸だが、“ビタミンCが豊富な果物”のイメージが広がりより積極的に摂られるようになった」との見方を示す。

右からレモン・プランツミルク事業本部オールレモン事業部の古林秀彦部長、同部商品戦略グループリーダーの室晃司氏、同部商品戦略グループの吉田真子氏、菊池紗弥伽氏 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
右からレモン・プランツミルク事業本部オールレモン事業部の古林秀彦部長、同部商品戦略グループリーダーの室晃司氏、同部商品戦略グループの吉田真子氏、菊池紗弥伽氏

 レモンには、ビタミンC・クエン酸・ポリフェノール・リモネンの成分が含まれ、中でもクエン酸の含有量は果物の中でもトップクラス。クエン酸はレモンのイメージに結びつきやすい成分であることから、その健康価値を伝える活動にも注力する。

 「独自の付加価値商品の提供と価値啓発、そして加工食品メーカーへの原料供給(BtoB)。この3つをまわすことでブランディングしていきたい。“レモンと言えばポッカサッポロ”“ポッカサッポロと言えばレモン”と自然に想起されるようになりたい」と全体像をつかむ。

 その要となるのはレモン食品とレモン飲料で、同社商品が市場を牽引しつつ他社の参入を促すことでレモンの総需要を拡大していく。

 秋冬に向けては、レモン食品から「ポッカレモン 有機レモンシチリア産ストレート果汁100%」「レモン果汁を発酵させて作った 甘くないレモンの酢無糖」の2品、レモン飲料から機能性表示食品「キレートレモンMUKUMI」の1品を新発売する。

 「レモン食品からは“用途”と“シーン”をご提案し、レモン飲料はレモンの新しい価値をお届けしたい」と室晃司レモン・プランツミルク事業本部オールレモン事業部商品戦略グループリーダーは語る。

 「ポッカレモン 有機レモンシチリア産ストレート果汁100%」は、シチリアで有機栽培を行っているレモンを1つずつ手摘みし収穫から24時間以内に搾汁した有機JAS認証ストレートレモン果汁のみを使用したもので、搾り方も追求。

 担当する菊池紗弥伽氏は「種と皮の苦味成分が入らないようにレモン青果の中にストローのようなチューブを刺して搾汁している」と胸を張る。

 「レモン果汁を発酵させて作った 甘くないレモンの酢無糖」は、ビネガードリンク全般に対する“甘すぎる”不満点を解消すべく独自開発で編み出された4倍希釈タイプのビネガードリンクで、“飲みやすさ”と“甘くない”を両立させるべく独自開発原料(醸造酢)を開発。

 担当する吉田真子氏は「レモン果汁はとても酸っぱく酸度が高く、酸度の高いものを発酵させるのは難しいが、それを独自開発で発酵させることで、まろやかな酸味を実現し、お酢のツンとした香りが苦手な方にもおいしく召し上がっていただける」と説明する。

 「キレートレモンMUKUMI」は、外部調査で20~30代女性の約3人に1人が悩んでいるという“むくみ”をそのまま商品名にした機能性表示食品で“一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減する”を訴求する。

 レモン事業全体としては、「ポッカレモン」「キレートレモン」に続く新たなブランド創出を中長期の課題に掲げる。

 「新たなロングセラーブランドをつくっていくのが大きな仕事だと思っている。レモン飲料の課題は嗜好系にあり、レモン食品も『ポッカレモン』で様々な切り口で提案していくことだけに留まらず新商品で世に問うこともやっていきたい」(古林部長)と意欲をのぞかせる。