市場規模1千億円を突破した青汁市場はこの10年、後発プレーヤーが相次いで参入し、販売チャネルも多様化しながら市場成長を続けてきた。しかし、ここにきてプレーヤーおよび新規商品も一巡し、業界構造についても新たな展開を迎えつつある。
商品企画での原料は引き続き大麦若葉が主流。九州産原料に特化した製品やフレーバーで飲みやすさを訴求した製品、ケール、明日葉、桑の葉など複数原料による製品も増えた。コロナ禍以降は免疫効果が期待される乳酸菌入り青汁製品のニーズが急増。機能性表示食品としての商品化もトレンドとなっており青汁受託の最大手・東洋新薬が活性化を牽引している。
販売業態別では、食品スーパーやドラッグストアなどの一般流通で商品の絞り込みを行う企業も出始めている。消費者に青汁製品が定着する中で、安売り商品よりもブランド力、販売力を発揮できるメーカー(伊藤園、山本漢方製薬、新日配薬品、ヤクルトなど)商品で棚を構成し、売場効率を改善したい企業が増えた。
国産原料の使用が多い青汁製品だが、副素材や物流費、燃料費などのコスト高は各メーカーの収益に影響を与えている。各社ともにユニットプライスが最も安いとされる業務用小売のPBやスーパーのPB、大手メーカーの価格改定を見守っている状況だ。
一方、通販ルートはコロナ禍の巣ごもり消費、健康志向の高まりにより好調が続くが、価格訴求タイプと価値訴求タイプで二分されており、必ずしも「安ければ売れる」という状況ではなくなっている。市販と同じく乳酸菌入りの販売は活発だが、「健康」だけでなく「安全」や新たな付加価値を消費者が求めているからだ。
青汁が持つ商品特性の一つは副素材を使用しながら付加価値を高められること。現在、免疫強化の一環として「腸活」がトレンドワードとなっているが、食物繊維、ミネラル、ビタミンが豊富な青汁に乳酸菌を含有した商品は通販でもヒットしている。
価値訴求タイプではチョイスジャパン「美腸活青汁」もその一つ。九州産原料(大麦若葉、桑の葉、モリンガ)、有胞子乳酸菌ラクリス、フェカリス菌(510億個)、米麹粉末、植物発酵エキス末などを配合。「腸活」を主眼に日本美腸協会の須本愛子・EXE認定講師が監修した。須本氏は「Buchiii(ブチイイ)」を運営、美腸プランナーとして企業向け研修を展開中。経験に基づいた腸活提案は会社の生産性を高めるとして講演依頼が増加している模様だ。