埼玉県内を中心に食品スーパー「食品館」などを展開するスーパーバリュー(本社・埼玉県上尾市、岸本圭司社長)は15日、ロピア・ホールディングス(以下、ロピア)と資本業務提携契約を締結した。
リージョナルSMの再編をめぐっては、コロナ禍による消費者の購買行動変化と、それに伴う業態間競争の激化、急速に進むDXへの対応など、安定した財務基盤が優勝劣敗のポイントになるものとみられているが、今回の提携はまさにそうした環境変化を受けた提携となる。
大手GMSの出店などによる競争激化の影響で業績が低迷するなか、スーパーバリューは金融機関の支援を受け自助努力による業績回復を目指していたが、前2月期業績は売上高が前年比9.6%減(720億8千400万円)、営業利益(8億300万円の赤字)、経常利益(7億500万円の赤字)、当期純利益(8億2千900万円の赤字)と低迷。今第1四半期業績も、既存店売上高が前年比89%、各段階利益も赤字となるなど苦戦が続き、足元の資金繰りやキャッシュフローの悪化を抜本的に改善する必要が生じたことなどから、ロピアとの資本業務提携を決断した形。事実上、ロピアによる救済型提携となる。
スーパーバリューは今年2月10日、同社の主要株主が同社普通株式210万700株をロピアに譲渡。2月28日時点のロピアの議決権比率は33.17%となっていたが、新たにロピアを引き受け手とする第三者割当増資により財務基盤の安定化を図る狙い。第三者割当増資後、ロピアの議決権比率は51.62%となり、スーパーバリューはロピアの連結子会社となる。第三者割当増資の払込期日は8月31日。
提携相手にロピアを選んだ理由について、同社では「生鮮食品に主力を置く経営戦略は、当社も長年取り組んできた戦略であり、経営理念・経営方針について当社と共通する部分が多くあり、当社との資本業務提携には経営戦略上のシナジー効果が高いと考えている」としているが、競合エリアが少なくエリア補完が可能なこと、ロピアが神奈川県や埼玉県に設置している物流センターやPCの効率的な共同利用や相互利用によるコストダウンが大幅に見込まれることなどを挙げた。
スーパーバリューは今回の資本業務提携によりロピアのPBや生鮮PC商品の導入、同社PCを介した生鮮商品の導入による商品ラインアップの充実化と店舗オペレーションの効率化、シナジー発揮に向けた新しい店舗フォーマット(モデル店舗)の共同開発、PB・PC商品、モデル店の店舗オペレーション内容をスーパーバリュー既存店に拡大・導入することなどにより、売上や利益改善を目指す考え。
提携先のロピアは、首都圏、近畿、中部圏で食品SM「ロピア」など65店(前期末時点)を展開。SM事業の前2月期売上高は2千75億円。