異例の6月猛暑 スポーツドリンクに脚光 各社マーケティング活発化し熱中症予防を啓発

 異例の6月猛暑で、スポーツドリンクなど熱中症予防に適した飲料が脚光を浴びそうだ。

 25日、群馬県伊勢崎市で40.2度を観測し6月の国内で観測された最高気温を更新。この日、東京都心でも初の猛暑日となり、26日も36.2度を記録して6月としては観測史上1位の値となった。

 経済産業省は26日、27日に東京エリアで電力需給が厳しくなると判断し「電力需給ひっ迫注意報」を発令。
 一方、熱中症予防対策として、暑い時間帯には適切に冷房などを活用することと水分補給も呼びかけている。

 効率的な水分補給としては、塩分(ナトリウム)と糖分がバランスよく入った飲料が好適とされる。
 近年は健康志向の高まりで、糖の摂取を避ける「避糖化」がトレンドになっているが、糖分には小腸でのナトリウムと水分の吸収を促進させる働きがあり、とりわけ熱中症対策には欠かせない成分といえる。

「ポカリスエット」アンバサダーの初音ミクとLeo/needメンバーが暑熱順化の大切さを呼びかけるWEBムービー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ポカリスエット」アンバサダーの初音ミクとLeo/needメンバーが暑熱順化の大切さを呼びかけるWEBムービー

 飲料メーカー各社はマーケティング活動の活発化とともに熱中症予防を啓発している。

 大塚製薬は例年、室内で増加傾向にある熱中症や自覚のない脱水に対して注意を促す施策の1つとして「ポカリスエット」ブランドの活動を強化している。

 夏本番に向けては、カラダを暑さに適応できる状態にする暑熱順化を啓発。

 「ポカリスエット」公式サイトと大塚製薬公式YouTubeチャネルでは、「ポカリスエット」アンバサダーの初音ミクとLeo/needメンバーが暑熱順化を“カラダが暑さに慣れること”とし、体温調節には必要な汗をうまくかく準備が必要で、夏の暑さに対してすぐに順応できるわけでないことを伝えている。

 6月4日には吉田羊さん・鈴木梨央さん出演の「ポカリ、のまなきゃ」シリーズ第17弾を放映開始して「夏、熱中症対策にポカリスエット」などと呼びかけている。

「アクエリアス」主要アイテム - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「アクエリアス」主要アイテム

 コカ・コーラシステムは「アクエリアス」で、6月27日から夏のキャンペーンを実施して熱中症対策飲料売上ナンバー1の訴求に重きを置いた施策を昨年に引き続き展開していく。

 「ナンバー1は店頭で非常に強いパワーワード。熱中症対策飲料で一番売れているのは『アクエリアス』であることをしっかり訴求すると、それを耳にされた消費者が購買するという調査結果が出ていることから、さらに強化していく」と日本コカ・コーラの高木直樹マーケティング本部スポーツ事業部部長は述べる。

 熱中症対策を効果的に伝える施策としては、気象・気温予測と連動した、TVCMやOOH(屋外広告)、デジタル広告も展開する。

「鬼滅の刃」とコラボしたオリジナルデザインボトルの「GREEN DA・KA・RA」本体(サントリー食品インターナショナル) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「鬼滅の刃」とコラボしたオリジナルデザインボトルの「GREEN DA・KA・RA」本体(サントリー食品インターナショナル)

 サントリー食品インターナショナルは「GREEN DA・KA・RA」で子どもに人気の「鬼滅の刃」とコラボレーション。

 7月12日から「鬼滅の刃」とコラボしたオリジナルデザインボトルの「GREEN DA・KA・RA」本体と麦茶飲料の「GREEN DA・KA・RAやさしい麦茶」を数量限定で発売して水分補給ニーズが高まる夏本番に向けて購買を喚起していく。

 “おいしく熱中症対策”の訴求を強化するのはキリンビバレッジの「世界のKitchenからソルティライチ」。

 マーケティング部企画担当の髙瀬友紀氏は「今年は『ソルティライチ』でエリア別に熱中症対策のPOPを用意している。POPには気温と湿度を記入できるようにして、各エリアの気温などにあわせてメッセージも変えながら提案していく」と語る。

 キリンビバレッジは、熱中症対策アドバイザーによる、熱中症対策の啓発も全国で行っていく。

 熱中症対策アドバイザーとは、全国の地方自治体・官公庁・企業・民間団体が一体で取り組む「熱中症予防声かけプロジェクト」主催の資格で、資格取得者は各地で熱中症対策セミナーを実施し熱中症に関する知識や熱中症対策の啓発を行っている。

「世界のKitchenからソルティライチ」(キリンビバレッジ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「世界のKitchenからソルティライチ」(キリンビバレッジ)

 なお全国清涼飲料連合会の「清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によると、2020年スポーツ飲料等は生産量が前年比10%減の126万9600kl、生産者販売金額が8.8%減の2879億2000万円を記録。
 21年スポーツ飲料等は生産量が1.9%減の124万6000kl、生産者販売金額が2.9%増の2962億6400万円を記録した。

 コロナ禍の外出自粛で運動や移動時での水分補給の機会を失い大打撃を受けたスポーツドリンク市場は、21年に人出の回復や自宅療養時でのニーズの高まりで下げ止まった。
 今年は3月21日に、18都道府県に適用していたまん延防止等重点措置が解除されたことで人流増加に伴い活気づき、1-5月市場は前年を一桁台のプラスで推移している模様。