日本アイスクリーム協会はこのほど、21年度(4~3月)のアイスクリーム類および氷菓の販売実績を発表した。市場規模は5千258億円、前年比1.2%増となり過去最高の販売額となった。前期の7月は3年ぶりの普通の夏となり24%増と大きく伸びたが、8月は一転して天候不順に見舞われ14%減となり、その結果上期は前年並みで通過。下期は温暖化の影響からか、平均気温が高めに推移したこともあり1.2%増で着地し、これで3年連続で下期の伸びに救われた格好となった。気候変動による市況の不安定化は今後、大きな問題となっていきそうだ。
種類別の伸長率は「業務用」20.1%増、「スティック」16.2%増、「紙カップ」3%増の順。前々期にコロナの影響を大きく受けた業務用は回復傾向にあるが19年度比では15%減、スティックは下期に30%増と大きく伸びており、暖かい部屋でアイスクリームを楽しむ機会が増えていることが推察される。巣ごもり需要から大きく伸びた最大ボリュームを持つ「マルチパック」は前々期8.7%増と大きく伸びたが、前期は前年並みを維持する大健闘。同様に21%増と大きく伸びた「ホームタイプ」も1.4%減で踏ん張りを見せている。
物量ベースの伸びは4.3%増の90万㎘。アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓のすべての種類で増加し、なかでもアイスクリームが6.8%増と大きく伸びた。リッター単価は前々期の602円から前期584円と3.0%減。アイスクリーム以外のすべての区分で下落しており、特にラクトアイスは7.3%減と大幅ダウン。
上/下期の販売実績は、上期60.0%、下期40.0%ときれいに6対4となった。以前は7対3が「定説」だったが、20年ほど前の03年は上期63.2%、下期36.8%、以降ジワジワと下期の売上が増大し、業界の念願だった消費の通年化が実現したと言えそうだ。