無糖紅茶飲料に活性化の兆しが見えてきた。
マーケティングの活発化によるもので、アサヒ飲料が「和紅茶 無糖ストレート」(以下、和紅茶)で新規参入し、同市場を席捲するキリンビバレッジの「午後の紅茶 おいしい無糖」もマーケティング活動に熱を帯びる。無糖紅茶飲料のはしりである大塚食品の「シンビーノ ジャワティストレート」も今後何らかの動きが予想される。
全国清涼飲料連合会の「2021年清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によると21年紅茶飲料市場は、生産量が前年比2.3%減の108万700KL、販売金額が0.6%増の2023億4400万円となった。
この中で、無糖紅茶飲料市場は、キリンビバレッジ調べによると、21年は容量ベースで15年比22%増、前年比3.2%増となり「経年的に成長している」(キリンビバレッジ)とみている。
アサヒの「和紅茶」は、香りが特徴の無糖茶市場が17年から21年までの5年間で130%伸長し新たな潮流になっているところに着目して開発された。
ブランド名は「和紅茶」だが、紅茶ではなく香りが特徴の無糖茶市場に勝算を見込む。
4月5日に発売開始して好スタートを切った。
アサヒ飲料の星野浩孝マーケティング本部マーケティング二部お茶・水グループグループリーダーは好調要因に品質を挙げ「日本らしい和(なごみ)を感じさせる紅茶をつくろうということで開発し、そのことに対するご評価が高い。お客様センターに“キャップを開けた瞬間に物凄く香った”“こんなに香り高くておいしい紅茶飲料をペットボトルではじめて飲んだ”といったお声が多数寄せられている」と説明する。
これに対し、キリンビバレッジは「午後の紅茶 おいしい無糖」をより飲みやすくするなどして改良を加えて6月24日に発売開始し、お弁当などさまざまな食事に合うことを訴求するウィズフードを提案している。
「おいしい無糖」は2011年の発売開始から10年連続で販売数量を伸ばし現在も上昇基調にあることから、改良にあたっては、既存ユーザーと紅茶の渋みを苦手とする層の両方に支持されるべく試行錯誤を重ねたという。
キリンビバレッジの加藤麻里子マーケティング部ブランド担当主査シニアブランドマネージャーは「根幹となる茶葉のブレンドと抽出時間を1から見直した。『おいしい無糖』は砂糖などが入っていない分、味づくりが難しく、最初のほうは上手くいかず何度も味覚改良してついに完成した。ご愛飲されている方にもご納得いただけるように渋みを低減させた」と振り返る。
ポッカサッポロフード&ビバレッジは今秋に「かごしま知覧紅茶無糖」で新施策を予定している。
「かごしま知覧紅茶無糖」は、前身商品の鹿児島県知覧産紅茶を100%使用した原材料へのこだわりや味わいを守りつつ、20年9月に製造工程を見直して“無糖なのにほのかに甘い味わい”をアップさせて以降、勢いを加速させている。
各社の無糖紅茶飲料マーケティングの活発化に伴い、無糖紅茶飲料の先駆けである「ジャワティ」も再び注目を集めそうだ。