伊藤忠食品の22年3月期は売上高が6千126億6千万円、営業利益が58億9千万円。収益認識に関する会計基準の減少分を加えた実質売上高は46億円の増収。営業利益以下の利益も各段階で増益となった。
今期は売上高6千300億円、営業利益61億円を計画。4年連続増益を目指す。岡本均社長は前期の総括と今期の目標、中長期的な重点課題について次の通り語った。
【前期の総括と今期の目標】収益認識基準の変更もあり前年と比較するのは困難だが、得意先小売業との商流取引、物流受託の取引において巣ごもり需要が堅調に推移したことなどにより、すべての利益段階で増益となった。赤字取引の見直しや物流事業の効率化なども一定程度進んだ。
今年度は売上高が6千300億円の増収、営業利益が2億円増、経常利益が若干増、当期純利益が4億円増で4年連続の増益を目指す。諸物価の高騰や食品価格の改定など不透明な経営環境が続くが、23年度以降も継続的に成長するため、中計最終年度に既存事業を盤石にする。
【DX化の進捗】どこまで進んだか実感としてつかめる段階までは至っていないが、紙の使用量が減り、在宅勤務がかなりできる状況になった。今後、ダイバーシティを推進する際、リモートワークの環境が整ったこと、実践したことは非常に有意義になる。
営業活動においては、お客様の要望を聞きながらWEB展示会を進化させてきた。今後、ハイブリッド型の展示会をより有効に使ってもらえるだろう。それが、われわれの営業力強化にもつながる。着実に進歩している感覚はある。
【2030年までの重要課題】2030年までに食品廃棄量を18年度比50%削減する目標を立てている。19年度から始めた受発注システムが有効に稼働し、AIなどを活用した精度の高い受発注ができるようになった。さらに、われわれが売り切るための施策が重要。お客様に商品情報を提供し、食べたいと思ってもらう。それをメーカーや小売業の方々と一緒に進めていくことが、一番フードロスの削減につながる。
ダイバーシティについては同じく2030年までに、管理職に占める女性社員の比率を25%以上に高めることを目標としている。われわれの業務そのものが生活に密着した食を扱っている以上、女性の視点を上げていくことは大事。われわれの経済活動にもプラスになる。
多様性というのは、高まるほど負の部分も出てくる。それをいかに減らし多様性を武器にしていけるか。教育面や心理的要因だけでなく勤務体制など制度の支えがあって進捗すると考えている。高い目標だが、それがゴールではないと認識した上で進めていきたい。