みそ 好調商品を一層強化 市場規模維持へ需要喚起

みそ業界ではコスト高への対応として価格改定作業が進められている。過去の値上げ時にはトータルで販売数量がダウンし、市場規模が一回り縮小した。今年から来年にかけては製品価格の適正化とともに、販売減をいかに食い止めるかが重要課題となる。当面はいま売れている商品をさらに伸ばすことで市場規模の維持を図りたい。

近年のみそ市場では、無添加みそ、減塩みそなどの付加価値商品の売上げ増加が見られる。中でも麹歩合の高い甘口のみそがよく売れている。その象徴と言えるのが、マルコメの「丸の内タニタ食堂の減塩みそ」で、昨今は有力POSで売上トップに立つ。

高麹歩合の甘みとコクのあるみそが支持される近年の流れは、同社の「プラス糀 生糀みそ」(現「プラス糀 無添加 糀美人」)のヒットからスタートしている。食品では激辛ブームも続いているが、生みそに関しては9年以上も甘口嗜好が顕在化している。

甘口みその人気は昨年から今年にかけても続いている。ハナマルキの「追いこうじみそ」はこうじ量が2倍(同社標準比)で、減塩でも深い旨みと奥行きのある甘みを味わえる。昨秋の発売以降、想定を上回る売れ行きで、今年も注力商品の一つとして販売拡大に取り組んでいる。

甘口みそとともに近年トレンドになっているのが天然醸造みそで、本物志向の消費者の間で老若の世代を問わず静かなブームとなっている。山印醸造の「昔ながらの天然醸造無添加」や、竹屋の「名人のみそ」が引き続き堅調で、時間が生み出す旨みが高く評価されている。

ひかり味噌が昨秋発売した「二〇二一年味噌ヌーボー初熟」も自然の力で熟成した天然醸造みそで、若いフレッシュな風味が特長。発売後に早々と完売した。要望に応えて、今年発売の「ヌーボー初熟」は倍以上のロットサイズとなる。

売れているみそはカップ入りだけではない。会津天宝醸造の瓶の「おかずみそ」シリーズが好調だ。会津みそをベースにしたおかずみそで、昨年の消費者キャンペーンではほぼ全県から応募があり、全国的にファンを獲得している。

将来的な市場拡大に向けては、液状みそや顆粒みそなど“進化形みそ”の育成による需要増と売場拡大が期待されるところだ。短期的には、今日的ニーズを捉えて好調に推移している商品を、より分かりやすく積極的に訴求することで市場規模の維持を図りたい。

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