コカ・コーラシステムのお茶商品がじわり存在感を高めている。
「綾鷹」をはじめとするお茶商品全般の販売動向について、22日発表した日本コカ・コーラの小林香予マーケティング本部コーヒー・ティー・スポーツ&ウォーターカテゴリー事業本部長は「昨年は市場が冷え込む中で、売上・数量ともにプラス成長を達成することができた」と振り返る。
お茶市場は昨年、長引くコロナ禍による人流抑制と8月以降の冷夏の影響で、特に自販機などの家庭外飲用シーンが低迷。
そのような環境下で、コカ・コーラのお茶商品は「チャネルごとに適切なアクションをとったことでほぼ全ての主要チャネルで前年を上回る実績を残した」。
この要因については、「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」「やかんの麦茶from一(はじめ)」の新商品のヒットと既存の基幹商品の回復――の大きく2つを挙げ「新商品と基幹商品のバランスをしっかりとれたことが一番の要因」とした。
「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」は昨年3月22日に新発売され、和素材ラテ市場の開拓に成功し今年3月21日までの1年間で累計出荷本数1.4億本(約583万ケース・1ケース24本換算)を突破し「21年の抹茶系飲料市場で売上金額No.1になることができた」。
一方、「やかんの麦茶」は昨年4月26日に新発売され今年3月現在で累計出荷本数3億本(約1250万ケース)を突破。1年足らずでの3億本突破は「過去10年間で発売されたコカ・コーラ社の新商品としては最短」という。
既存品では「綾鷹」「紅茶花伝」「からだすこやか茶W」が回復基調にあるとした。
コカ・コーラ社は昨年、「お茶市場においてもリーディングカンパニーを目指していく」との考えのもと商品ポートフォリオを拡充。今年も昨年の取り組みを引き継ぎ、味わいと健康をテーマに掲げて活動していく。
消費者ニーズに一層寄り添う方針も継続。
「お客さまは、われわれのビジネス視点でのカテゴリー区分けでは飲料を選ばなくなっていることも分かっている。その瞬間のモチベーションによって複数のカテゴリーの中から選び、飲み回る傾向が一段と顕著になってきている」と説明する。
この考え方に基づき、茶系飲料全体を緑茶や紅茶といったカテゴリーではなく、嗜好性・健康感・止渇性の3つのニーズでとらえ「多彩なポートフォリオを提供し続けることでお茶市場においてもリーディングカンパニーになることを目指す」。
コカ・コーラ商品内での買い回り施策も強化していく。
「結果的に我々の商品を買い回っていただけるような販促施策は積極的に続けていく。昨年初めて実施した健康機能系商品をくくった販促キャンペーンのような施策に取り組んでいく」と語る。
家庭内需要の取り込みとして非RTDにも触手をのばす。
昨年、キューブ1粒を水またはお湯に入れて軽く混ぜるだけで淹れたてのおいしさが楽しめる新ジャンルのフリーズドライ飲料「1,2,CUBE(ワン・ツー・キューブ)」を開発しEC限定で販売開始した。
今年は同商品を一部のコンビニやスーパーでテスト販売。「『ワン・ツー・キューブ』以外にも、その時の新しい需要をとらえたRTDに留まらないお茶の提案をしていきたい」と意欲をのぞかせる。