桜と酒の深い関係

今年の開花予想では今月後半の九州を皮切りに、日本各地でソメイヨシノが見頃となる。日本の国花であることからも分かるように、桜はこれまで日本人の精神の象徴とされてきた。

▼花見や宴会などの祝いの場に桜の花をみて心を浮き立たせたいという心情は古来あったようだ。万葉集には桜を詠んだ歌が40首以上あり、奈良時代にはすでに桜が人々に愛されていたと考えられる。

▼歓送迎会が多くなるということもあり、桜が咲くめでたい季節に合わせて酒造開きが数多く行われるのも、この時期特有の風物詩となっている。しかしコロナ感染の予防策として今年も酒造開きを中止するエリアが増えている。人流の抑制や飲酒に伴う飛沫感染を警戒しているためか、花見での宴の席もめっきりと少なくなってしまった。

▼年度末で人の異動が最も多いこの時期にともに労い、お酒を飲みながら語り合えない。飲みの機会が減少していることで、人付き合いの在り方自体も「ニューノーマル」に即したドライな関係性になってしまうのではないかと大いに危惧してしまうのである。