林原は7日、山陽新聞社・さん太ホールにて、第4回林原ライフセミナーを催した。生活者に健康寿命について意識を高めてもらおうと、企業活動の一環として定期的に実施している。
4回目の今回は「口の健康、アンチエイジング」がテーマ。第1部は林原と、後援の岡山市や明治が健康に関する取り組みを紹介。第2部はテレビで人気の斎藤一郎・鶴見大学歯学部教授を講師に迎えた口腔ケアセミナーが行われた。
冒頭、主催者を代表して安場直樹社長があいさつ。「林原はモノづくり、価値づくりの企業として再生の10年間を歩んできた。地域の皆さまのご支援のおかげ。今後も皆さまの健康に貢献できる企業として活動を続けていきたい」と語った。
なおセミナー内容は17日からYouTubeでも配信予定。希望者は16日まで同社ホームページ「お知らせ」より申し込みが可能だ。
【第1部 主催者・後援者の取り組み紹介】
〈林原〉研ぎ澄まされたバイオの力で、全てに人へウエルビーイングを!
林原はこの10年間に、家業から脱却して国際バイオ企業として転身を図ってきた。近年はSDGsを強化しつつ、国連食連システムサミットや東京栄養サミットへ参画するなどコミュニケートを広げている。こうしたサスティナビリティの取り組みが評価され、サプライチェーンの国際的な評価機関「EcoVadis」にて、「ゴールド」に認定された。
林原では健康で美味しい素材を通じて、健康寿命の延伸をサポートしている。一般的に栄養強化商品などは美味しくないというイメージがあるが、食物繊維を強化する機能性食品表示の「ファイバリクサ」は、色や臭い、甘さがほとんどない素材としていろんな食品に多数利用されている。また昨年に発売した「テトラリング」は食品の仕上がりに影響を与えない食物繊維として広がっている。
〈岡山市〉おかやまを元気に!みんなで取り組もうシニアの健康づくり
コロナ環境下では地域のコミュニティの場が減少している。心身が衰えると、健康と要介護の間の「フレイル」(加齢・老化による筋力や精神面の衰え)状態になるが、再び健康を取り戻せることもある。できるだけ早く健康状態を知り対策することが大切であり、運動や社会的参加、栄養・口腔ケアで予防して欲しい。岡山市では65歳以上を対象にしたフレイルチェックの実施、市内115社による健康推進応援団を結成。健康な街づくりを目指している。
〈明治〉「グミを噛むこと」の可能性
グミは100年前に独のハリボー社が子供の噛む力を養うために発明した。明治(前身の明治製菓)は1980年に「コーラアップ」を発売。近年グミ市場は広がり、今ではガム市場と逆転した。
オーラルフレイルという言葉にもある通り、口の機能低下は要介護への入り口。グミを噛むことで噛む力も回復する。明治は日本市場の開拓者として、グミのバリエーション展開、価値の追求、グミの咀嚼による唾液分布の研究を継続している。
口のうるおいが健康をキープ
【第2部 講演】口から始める全身の健康 うるおいアップで元気で長生き/斎藤一郎・鶴見大学歯学部教授
食べる、話す、笑う、歌うなどさまざまな機能で使う「口」。人は口から老いるとされ、口腔機能の軽微な衰えであるオーラルフレイルは老化のサイン。75歳以上の死因の一位は誤嚥性肺炎であり、嚥下障害や口腔機能の低下は、全身的な健康を損なう恐れがある。
オーラルフローラと言って口の中は腸内に次いで細菌数が多く、口内環境が良くないとさまざまな病を引き起こす。日常的に乳酸菌で細菌の適正化を図ること、食べ物を口の中でよくなじませてから噛むことを意識して欲しい。また人間は抗酸化力が40歳を境に減少するため、普段からバランスの良い食事や旬の緑黄色野菜を摂取することも大切。
現代人の口腔機能の低下症状として現れるのが唾液量の減少。唾液量が減ると、喉の渇きや不快感が出てきて、これがドライマウスと言われる症状になる。加齢や食生活の変化だけでなく、ストレスもその一因。緊張すると口の中が乾くのはそのためであり、この状態が長く続くと長寿ホルモンが下がると。唾液には抗菌作用や粘膜保護作用など役割は多数あり、ドライマウスが続くと感染症や口臭、摂食嚥下障害、舌痛症、歯周病、粘膜疾患など病態を引き起こす。
アンチエイジング医学では、口の健康を保つことで全身のうるおいをキープして、老化を予防することが大事な要素とされている。幸せな人ほど長生きなのは、ストレスによる口の健康を予防しているため。楽しいから笑うのではなく、笑う門には福来たるとポジティブに意識して、日々の生活を送ることが免疫力アップにつながる。