雪印メグミルク 盤石な土台を徹底的に活用 グループを成長ステージへ 次期社長の佐藤雅俊氏

雪印メグミルクの西尾啓治社長が後任に指名したのは、入社後アイスホッケー部に所属し最優秀新人賞を受賞、11年間にわたり日本アイスホッケーリーグで選手として活躍したという異色の経歴を持つ佐藤雅俊常務執行役員だった。

西尾社長から「当社グループ企業理念の実現、企業価値向上、すべてのステークホルダーの満足のため私心を捨て、経営に当たる覚悟を持った人物」「前向きで明るい熱量(エネルギー)は、より多くの社員の力を引き出し、組織を結束させるリーダーシップにつながっていくと確信している」と期待される佐藤常務が、社長就任に向けた抱負を語った。

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現在、私たちを取り巻く経営環境は、地球温暖化をはじめとする深刻な環境問題や、想定を超える急激な社会構造の変化など、不透明で厳しい状況にある。そのような中、自分たちは社会において「なぜ必要とされているのか、自分たちは何のために存在しているのか」、その存在意義を求められている。

当社の答えは、われわれの前身企業の一つである雪印乳業が掲げた創業の精神「健土健民」だと考える。「健土健民」とは、健やかな土に健やかな民と書く。「酪農は大地の力を豊かにし、その豊かな大地から生み出された牛乳・乳製品は、最高の栄養食品として、健やかな精神と強靭な身体を育む」ということを意味する。創業当時の社会課題は、日本国内における安定的で豊かな食生活の充実であり、創業者たちは酪農乳業という事業を通して、その解決のために立ち上がった。

現在、私たちの存在意義、志は、酪農乳業が生み出す価値の提供によって「健康寿命の延伸」や「クオリティオブライフ(生活の質)の向上」など、さまざまな社会課題を解決することだと思っている。これまで西尾社長は、事業ポートフォリオの変革や生産体制整備、グループ経営の推進など、成長を支える事業基盤と安定した財務基盤を強力に作り上げてきた。これからの私の役割は、西尾社長が作り上げた盤石な土台を徹底的に活用し、雪印メグミルクグループを「成長のステージ」に導くことだ。

私はそのステージ実現のためのキーワードを「スピード」「共感」「チャレンジ」とする。「スピード」は、日頃からの組織・部門間のコミュニケーションをより活発にし、環境変化にスピーディーに対応する。「共感」は、物事の本質をとらえ、仮説を立て、志を同じくする仲間とともにあらゆる領域、バリューチェーン全体で価値の共創を行う。「チャレンジ」は、誰もが失敗を恐れず、新しい時代に求められる能力を遺憾なく発揮できる場面が社内の至るところにある、そんな組織風土を作る。

「スピード」「共感」「チャレンジ」の意識を、まずは自分自身が強く持ち、グループ社員とともに次のステージを目指していきたいと考えている。新しい時代に対応した社会の期待に応えられる企業となるために全力で取り組んでいく。

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佐藤雅俊氏(さとう・まさとし)。1963年1月18日生まれ、59歳。明治大学法学部卒業後、1985年4月雪印乳業入社。中部統括支店長、秘書室長、乳食品事業部長などを経て、2020年6月から現職。4月1日付で社長執行役員(CEO)、6月開催定時株主総会後の取締役会で代表取締役社長に就任予定。

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