紙容器の国産水 シンプルさを追求したデザインがアパレル企業などから大好評 出荷数量が一昨年比3倍で推移

鮮やかで明るい水色の小型紙容器に「WATER」の文字をシンプルにあしらった国産水が売れている。

これは「日東紅茶」などを展開する三井農林が20年8月から主に法人向けに発売している「ナチュラルウォーター 330ml」で、紙パックという形態と無駄のないシンプルさを追求したパッケージデザインが好評を博して出荷数量が拡大している。

同社が国産水に参入するにあたり当初見込んでいたのは、2020年の東京オリンピック開催に伴うインバウンド需要。

日本の環境意識を世界にアピールするツールの1つとして、ホテル・航空会社などへの導入を想定していたが、この目論見はコロナ禍でほぼ立ち消えになってしまったという。

左から営業本部業務用第一営業部営業第三室内山浩二氏、企画本部 ECプランニング部 ECプランニング室の堤妙(つつみ たえ)氏、営業本部業務用第一営業部営業第二室の當間諒氏
左から営業本部業務用第一営業部営業第三室内山浩二氏、企画本部 ECプランニング部 ECプランニング室の堤妙(つつみ たえ)氏、営業本部業務用第一営業部営業第二室の當間諒氏

そうした中、予期せぬ出会いもあった。「アパレル企業様や外車のディーラー様といった当初想定していなかったお客様から引き合いをいただき販路が広がった」と語るのは営業を担当する内山浩二さん。

評価ポイントの一つはシンプルなデザイン。

デザインを手がけた堤妙(つつみ たえ)さんは「“シンプルであることがサステナブルにつながる”との考えのもと企画担当者とネーミングやパッケージ制作を進め、様々な飲用シーンや空間になじむ雑味のないデザインを心がけた。最終的には約30通りのデザイン案の中から決定した」と振り返る。

このデザイン性と昨今の環境意識の高まりが掛け合わさり法人を中心に需要が高まっているという。

業務用ECサイト「TEABREAK」を担当する當間諒さんは「空間に馴染むシンプルさを追求したデザインが世界に名だたるブランドを展開する企業様からも魅力の一つとして評価をいただいている。出荷数量は現在、初年度の約3倍で推移している」と胸を張る。

ジー・エス・ティーのショールームに置かれる「ナチュラルウォーター 330ml」
ジー・エス・ティーのショールームに置かれる「ナチュラルウォーター 330ml」

「アルファ ロメオ」「プジョー」など高級外車を扱うジー・エス・ティー(GST)の採用担当者も「シンプルで主張しすぎないパッケージが採用のきっかけとなった」と語る。

GSTでは過去、ペットボトル入りの水を提供していたが「自動車業界はCO2排出削減という大きな課題を抱えている。「持続可能な社会へ、出来ることから少しずつ取り組んでいく」考えで、その第一歩としてペットボトルから紙パックのナチュラルウォーターに変更することとした」という。

導入後の反響は上々で「紙パックのお水という点で驚きのお声をいただくとともにSDGsへの取り組みに興味関心をいただきお褒めのお言葉をいただいている」。

現在の販売動向は、アパレルや外資企業、ホテルからも注文が入るようになったほか、一部のスーパーに導入されるなどBtoCでの展開の可能性も出ている。

今後も環境配慮を打ち出したい企業様に展開していく」(當間さん)考えだ。

メインの販売チャネルは三井農林業務用オンラインショップ「TEA BREAK」。ここでは1ケース(12本入)から販売しており、大きな出荷実績を誇っている。
「『TEA BREAK』ではご希望いただいたお客様ごとに担当営業をつけて購入後も継続してフォローさせていただいている」という。

水色パッケージのNB商品としての展開に加えて、カスタマイズしたパッケージデザインの受託製造も相談を受け付けている。

中身は、佐賀県鹿島市浜町で採水された多良岳山系の天然水を使用している。

今回採用した紙パックは森林認証を取得しており、SDGsの17目標中、14目標に貢献する。この強みも生かし営業攻勢をかけていく。
「環境意識の高まりから紙容器の水市場は世界的に拡大している。ボリュームが大きいのは500mlだが、伸び率が近年最も高いのが330ml。新規顧客を獲得して当社の紅茶などの業務用商品ともシナジーが図れるように営業強化して露出拡大を図っていきたい」(内山さん)と意欲をのぞかせる。

ペットボトルは飲料業界全体で脱石油資源を図るべく使用済みのペットボトルを再びペットボトルに生まれ変わらせるボトルtoボトルに取り組んでいる。
環境負荷低減のRTD(レディ トゥ ドリンク)の選択肢の要素に加えて、空間やシーンに馴染むシンプルなデザインという点からも、三井農林の紙パック入りナチュラルウォーターは今後注目を集めそうだ。