「ウィルキンソン」ノンアルとの境界線に新・炭酸水 ターゲットはZ世代 “あえてお酒を飲まない文化”先導して需要創造

 アサヒ飲料は炭酸水トップブランド「ウィルキンソン」でノンアルコールRTDとの境界線に向けて新しいライフスタイル炭酸水「#sober(タグソバ―)」シリーズを立ち上げた。

 「ウィルキンソン」の既存ユーザーではない20-30代のZ世代の獲得が目的。
 商品とコミュニケーションを通じて、欧米の若者の間で広まる“あえてお酒を飲まないことを選択する健康的なライフスタイル”を意味するソバ―キュリアス文化を先導して炭酸水の需要創造を図っていく。

 炭酸水市場は2011年に「ウィルキンソン」が直接飲用向けのペットボトル(PET)商品を発売したことが皮切りとなり急拡大。市場規模は21年までの10年間で10倍に膨れ上がり6000万ケース強と推定される(富士経済調べ)。

 炭酸水の飲用経験率は約50%とみられ、今回、Z世代にアプローチすることで30年までに市場規模をミネラルウォーター並みとされる1億ケース・7割弱の飲用経験率に引き上げていく。

右からアサヒ飲料の南川元司執行役員マーケティング本部マーケティング一部長と内田晴久マーケティング本部マーケティング一部無糖炭酸・果汁グループグループリーダー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
右からアサヒ飲料の南川元司執行役員マーケティング本部マーケティング一部長と内田晴久マーケティング本部マーケティング一部無糖炭酸・果汁グループグループリーダー

 7日発表した南川元司執行役員マーケティング本部マーケティング一部長は「ミネラルウォーター市場も20年近くの歳月を経て3人のうち2人に飲まれるようになった。炭酸水市場も直接飲用を提案開始した11年から20年くらい経てば1億ケースというのは現実的な数字だと考えている」と述べる。

 「ウィルキンソン」は、既存ユーザー1人あたりの飲用量増加と新規ユーザーの獲得の2つを方針に掲げ、今回の新シリーズは後者を目的としたもの。

 シリーズ第1弾として3月15日に新発売される「スパイシーレモンジンジャ」は、果実感のあるレモンフレーバーにスパイスを使用した辛口ジンジャを掛け合わせた“飲むほどにくせになる”をコンセプトにした無糖強炭酸水。

 この開発のインサイトについて、内田晴久マーケティング本部マーケティング一部無糖炭酸・果汁グループグループリーダーは「無糖の炭酸水に対して“もっと飲みごたえがほしい”や“我慢して選ぶ感じではなくあえて選んでいる前向きな雰囲気のある炭酸水が欲しい”といったZ世代のお声を受けて、お酒を飲まないときにも積極的に選べる新しいライフスタイル炭酸水が必要であると考えた」と説明する。

 「#sober」が狙う領域は、ノンアルコールRTD市場でも活気づく領域だが「当社としてはあくまでソフトドリンクでの提案となる。従来のノンアル市場は“少し我慢して飲む”や“仕方がないから選んでいる”という文脈になるが、『#sober』は“あえて選ぶ”という飲用スタイルになる」との見方を示す。

 コミュニケーションは、現在皆無に等しい認知度のソバ―キュリアス文化を先導して浸透させるべく年間通じて積極的に展開していく。

 「日本にはまだ根付いていない市場だが今後爆発的に伸びていくとみている。Z世代では1500万以上の規模感が狙えるとみている。今回の新商品をメインに年間通じた様々なコミュニケーションでソバ―キュリアス文化を実感してもらえるようにする。夏頃には第2弾の発売も計画している」と意欲をのぞかせる。

 容器の拡充も視野に入れる。
 「缶容器に親和性があるという可能性は考えている。まずは直接飲用の文化を広めたPETで生活者に価値を届けていき、展開次第で缶やボトル缶を検討していく」。

 新規ユーザーの獲得に向けては、Z世代のアプローチ以外にも多面的な展開を予定。
 「『ウィルキンソン タンサン』のプレーンやフレーバー周辺でのプロモーションや他のシリーズ展開で炭酸水ユーザーを広げる活動を多岐に考えている」。

 アサヒ飲料は炭酸カテゴリーに対して「ウィルキンソン」は無糖を軸足にしたフレーバー展開でユーザー拡大を図り、「三ツ矢」では有糖と微糖の間の提案で新規ユーザーを取り込んでいく。
 「“炭酸のアサヒ”と呼ばれるように、炭酸飲料の全てのポートフォリオを当社で埋めたいという強い思いを持っている」(南川部長)という。