味の素 藤江太郎次期社長 ビジョン実現へ強い「志」 「辣腕経営者」西井現社長の評

味の素社の代表執行役社長最高経営責任者の就任が内定した(4月1日付)藤江太郎現執行役専務食品事業本部長は、1日開催したオンライン就任発表でビジョン実現への初心を表明した(一部既報)。

「西井孝明現CEOからタスキを受け継ぎ、身震いするほどの緊張感と胸高鳴る想いでいっぱいだが、全身全霊をかけ、覚悟をもって尽力したい」と述べた。

現在の社会環境について「今は予測が難しい事業環境」としながらも、「こうした時代こそ『志』が重要になる。幼いころから抱き、今は確信していることは、ほかの人のためになること、人の幸せに貢献すればするほど、その人自身が幸せになれるということだ。味の素グループでいうと、人のためになること、すなわち志(パーパス)はアミノ酸の働きで食と健康の課題解決をすることだ。これこそがグループの存在意義であり、社会課題を解決しながら経済価値も創出するASV推進につながる」とし、志の重要性を強調した。

また「熱意だけではなく、実力や能力が伴うことも重要だ」とし、「社員同士やパートナーがぬるい関係ではなく、切磋琢磨しながら自らの実力を磨けば、志への原動力が向上する。特に人財資産、顧客資産、組織資産など無形資産の投資を強め、30年ビジョンの実現を加速したい。変革は終わりなき旅と言われるが、覚悟をもって持続的に変革に取り組む」と意欲を見せた。

自身は「箱根駅伝観戦が好きで、志をもって必死にタスキをつなぐ姿に感動している」と藤江氏。これまでの経過を箱根駅伝に例え、「西井さんが箱根の霧の中で激走し、ASV経営の定着と企業価値向上を進め、上位集団の背中が見えてきた今、託されたタスキを胸に構造改革の仕上げと持続成長の実現という、これからのきつい坂を上り切ることが私の使命だ」と強い意志を示した。

4月1日付で社長交代を含めた新たな執行体制に移行するが、「CEOとして、部門横断が特徴の新執行役の体制で、志×熱×磨きあげるというキーワードを大切に関係者に『幸せのもと』を提供し続けたい」と語った。

西井社長の藤江氏の評価は「信念の人、悩まない、迷わない、行動力がある、意思が強いのに許容があって頑固ではない」。海外事業の功績も大きく、「2011年にフィリピン味の素社長に就任した際、原材料高騰が続き赤字転落しかけていたが、これを立て直し、わずか3年で事業利益25倍、事業利益率15%の優良会社に再生した辣腕経営者だ。徹底した現状分析と、可視化による分かりやすいマネジメントシステムを組み合わせ、徹底的に構造改革を進めた」と当時の逸話を披露した。

「座右の銘はないが、大切にしている言葉は志、熱、磨く」。家族構成は妻、娘。趣味は読書とゴルフ。