創立50周年のアサヒ飲料「一番信頼される会社に」 環境・健康・地域共創で競争力向上 米女太一社長が意欲

アサヒ飲料は創立50周年を迎える今年、従来から重点的に取り組んでいる環境・健康・地域共創の基本戦略を再度固めてCSV経営を推し進める。1月27日、事業方針説明会に臨んだ米女太一社長は「創立50周年を迎える今年を起点に、社会で一番信頼される会社になるような動きをしていくのが今年のテーマ。環境・健康・地域共創で一つ何か社会に大きく貢献できるような新しい取り組みをしていきたい」と意欲をのぞかせた。

環境では、業界に先駆けて「三ツ矢」「カルピス」「十六茶」「おいしい水」「バヤリース」の一部の大型ペットボトル(PET)にケミカルリサイクルで再生されたPET樹脂を100%使用して4月に発売する。

大型PET年間生産量の約40%に再生PET樹脂を使用することで、ボトルに使用するCO2排出量は従来比で約47%削減され、年間で約1万8千400tのCO2が削減される見込み。

化学的なプロセスで不純物を取り除くケミカルリサイクルを取り入れることで、使用済みPETを何度もPETに循環させるボトルtoボトル(水平リサイクル)を推進していく。「自販機から回収したPETを水平リサイクルしていく新しい仕組みも検討することで、循環型社会の実現を目指す」と述べる。

昨年に販売が倍増したラベルレスボトルも強化する。ラベルレスボトルは環境意識の高まりに加えて、分別する際にラベルを剥がす手間が省ける点が支持され、18年の展開以降、4年連続で成長し、21年は460万ケースの販売を記録した。今年は単品販売に対応した「シンプルecoラベル」の拡大を図り、前年比9%増の500万ケースを目指す。

缶容器でもCO2排出削減に取り組む。缶の表面にミサンガ状の凹凸加工(エンボス加工)を入れて軽量化した「ワンダ モーニングショット」(185㎖缶)を3月から順次展開する。

健康領域は、睡眠と適度な運動に着目する。睡眠では、睡眠の質(眠りの深さ)を高めるのに役立つ機能と腸内環境の改善に役立つ機能があることが報告されている同社独自の乳酸菌・ガセリ菌CP2305株を配合した「届く強さの乳酸菌W(ダブル)プレミアガセリ菌CP2305」に注力する。適度な運動では、全社員で歩く取り組み「Walk for a smile」を強化する。

地域共創の取り組みについては「地域の社会的課題解決に向けて、実際に社員が参加し直接魅力を伝えていく活動を推進する」。社員参加型の試飲販売や「こども食堂」への寄付を継続する。

アサヒ飲料の21年販売実績は1%増の2億5千68万ケース。今年はコロナ前となる19年水準までの回復を目指し、5%増の2億6千350万ケースを計画する。

その要となるマーケティングの基本方針について、相生宏之常務執行役員マーケティング本部長は「『ブランドを磨きブランドで挑む』ことに加えて、特に新たな価値を創造することを重点的に取り組んでいきたい」と語り、今年の新価値創造商品の皮切りとして「三ツ矢微糖炭酸水レモン」と「和紅茶 無糖ストレート」の新商品2品を挙げた。