デフォルトは何か

先日泊まったホテルでは、宿泊中の部屋清掃やシーツ交換は基本的に行わず、希望する客はタグをドアノブに掛けておく方式だった。環境負荷低減の一環だという。

▼選択肢は同じでも、何をデフォルト(既定値)とするかで人々の選択行動が変わる。ECの注文画面で「メールマガジンを購読する」に最初からチェックマークが入っていたりするのも一例だ。

▼時代に合わなくなる事例も。昨年末に政府が決めた子ども対象の10万円給付では「960万円」とされる所得制限が、世帯合算ではないことが問題化した。夫婦で年収2千万円近い世帯には支給される一方、1千万円の片働き世帯は対象外だ。国がデフォルトとして想定する「働く夫と専業主婦の妻」というモデル世帯が少数派となったことで、矛盾が露呈した。

▼何をデフォルトとするかは、その社会が目指す方向性の意思表示でもある。最近で言えば「出社」の位置づけもそうだ。在宅で可能な業務しかない日も、時間や費用、環境負荷のかかる出社を原則とすることは生産性向上につながるのか。コロナを契機に、人々が疑問を持ち始めたデフォルトは多い。

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