さんま寿司の日

今日は「さんま寿司の日」。三重県熊野市のさんま寿司保存会が2004年に制定したもので、毎年1月10日に同市の産田神社で大祭が行われ、この祭りの時に参拝者へ熊野名物のさんま寿司が振る舞われる。安産や子どもの成長を祈る儀式となっている。

▼さんま寿司は秋刀魚を用いた押し寿司で、静岡県下田市や三重県の志摩半島から和歌山県に至る熊野灘沿岸一帯、奈良県十津川村や奈良県旧大塔村で食べられている。祝いごとや祭りの際に作られる郷土料理だが、今は1年を通じて食べることができる。

▼秋刀魚を開きにして軽く塩漬けし、秋刀魚が一本丸ごと入る長方形の枠の中に酢飯を入れ、その上に開きにした秋刀魚を頭を付けたまま乗せて押す。筆者も取材で訪れる南紀で何度か食べた。秋刀魚と酢飯が渾然一体となって実に結構な味だ。

▼いまスーパーでは魚を一口大にカットしフライパンで炒めるだけで簡単に魚料理を作れる冷凍商品が売れている。日々忙しい現代人は今後も簡便食材にお世話になるだろうが、さんま寿司のような郷土の魚料理もたまに味わいたい。