月経前の心身の不調  医師や専門家が少なく診断困難・保険適用の薬は皆無・軽症の対処法不明  その課題解決へ大塚製薬がセミナー

 ――月経前になると眠さと集中力低下で勉強がはかどらなくなる。
 ――月経前にパートナーの行動にイライラして喧嘩になる。
 ――月経前に子どもを叱りすぎてしまう。

 このような状態になる女性とその周囲の人に向けて、月経前症候群(premenstrual syndrome :PMS)の存在とPMSを改善できるかもしれないことを知ってほしいと訴えるのは、女性のトータルヘルスケアを専門とする東京歯科大学市川総合病院産婦人科の小川真里子准教授。

 大塚製薬は11月18日、PMS領域のセミナーと新製品発表会を開催し小川准教授を招いた。

 小川准教授は「大多数の女性がPMSと月経困難症を合併している。そのような女性にとって快適な時期というのは月経が終わった後から排卵までのほんの一週間で1か月の4分の3が本調子ではない」と語る。

 経済産業省が18年に行った調査によると、女性従業員の約6割が女性特有の健康課題などによって職場で困った経験があり、その多くが月経痛やPMSによることが判明。

 また大塚製薬の調べでは、正規雇用の会社員で管理職に登用される機会があった285人(PMSの自覚があり症状が重い285人)の約6割が退職を意識し昇進の辞退を考えることが明らかにされた。

 PMSは、月経前に周期的に繰り返し起こる冒頭のような心身の不調を意味し、その重症型にPMDDがあり、それらの認知が不足していることを小川准教授は問題視する。

 さらに「PMSの専門家やPMSを得意と公言する医師は少なく診断が難しい。そして治療薬は少なく軽症への対処法が不明」であることを課題とする。

 治療薬としては、漢方療法・低用量ピル(OC)・抗うつ薬(SSRI)があるが「いずれもPMSに対する保険適用はない」という。

 加えて初期治療の1つに、適度な運動や禁煙、睡眠習慣・食生活の見直しといったライフスタイルの改善を挙げるが「現代女性は忙しい」ことからその実行は難しいと指摘する。

 これらに代わるものとして小川准教授はPMSへの新たなヘルスケア戦略として提案するのは、カルシウム・エクオール・ビタミンEなどの摂取となる。

 更年期症状は、女性ホルモンの一種で女性らしい体作りを助けるエストロゲンが分泌されにくくなることで引き起こされるが、大豆由来成分であるエクオールは、エストロゲンが足りない状態のときにエストロゲンを補う役割がある。

 なおPMSはホルモンバランスの乱れと相関せず「PMSはホルモンが正常に働いているがゆえの症状。PMSの発生には多岐にわたる要因が相互に密接に関連し複雑であり現在でも不明な点が多い」と指摘する。

 こうした中、月に一度の排卵から月経までの期間(黄体期)における乳房痛・腹部膨張感・むくみの水分貯留症状と否定的感情因子が有意に相関していることが判明した。

 これを受け、小川准教授は、8種類あるビタミンEの1つで大豆油に多く含まれるγ-トコフェロール(ガンマトコフェロール)を提案。「頻尿を伴わず利尿剤よりもマイルドに水分貯留を解消する食成分に期待している」と述べる。