コーヒー豆を手挽きする60代以上が増加 「喫茶店に行けずココロの洗濯できない」に対応のキーコーヒー新商品

キーコーヒーは、家庭用レギュラーコーヒー市場で豆商品が拡大していることを受けて、豆の新商品「珈琲専門店の香り」(180g)を9月1日に発売した。メーンターゲットは、豆の主要購買層で喫茶店に慣れ親しむ60代以上の男女。近年の純喫茶ブームに敏感な40~50代の取り込みも図る。

「珈琲専門店の香り」は、同社が長年業務用として喫茶店に提供してきたコーヒーを家庭用に設計したもの。「時間を味わう一杯」をテーマに長時間焙煎して、喫茶店でゆっくりと飲むコーヒーをイメージして開発された。

同商品が狙うのは中容量(101~250g)のレギュラーコーヒー豆市場。インテージSRIによると、同市場は20年4月からの1年間で42%増に拡大。今年前半も、嗜好品全体が好調だった前年の裏返しで前年を下回る中、豆市場は二ケタ増を維持している。

同市場で30%強のトップシェアを握るキーコーヒーの豆商品も好調。「プレミアムステージスペシャルブレンド」をはじめとする主力品は市場同様に前年を上回り、19年比で見てもプラスで推移している。

出典 インテージSRI 全国嗜好飲料101~250g容量帯(コーヒー豆)2016年4月~2021年3月 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
出典 インテージSRI 全国嗜好飲料101~250g容量帯(コーヒー豆)2016年4月~2021年3月

その要因について、阿部祐美子R&Dグループ設計第一チームリーダーは「コロナ禍になりSNSを見ると、やはり喫茶店へ自由に飲みに行けないことに対する生活者のストレスが感じられた。一部の方からは『ココロの洗濯ができない』とのコメントもあり、その分、豆にこだわって家でおいしいコーヒーを楽しむ方が増えている」との見方を示す。

同社は、手挽きミルの販売が大幅伸長していることにも着目する。同社の調べによると、手挽きミルの販売は20年4月と5月に30%程度、21年4月と5月に10%強拡大した。この動きについては「ご自宅に滞在する時間が増え、せっかく家にいるのだからコーヒー豆を挽いて楽しもうという方が増えたと分析している。豆を挽く時間がすごく大事で、自分で豆を挽くということもコーヒーを飲む時間の一部ととらえているところがあることから、恐らく電動ミルよりも手挽きのミルのほうが伸長している」と説明する。

阿部祐美子氏(キーコーヒー) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
阿部祐美子氏(キーコーヒー)

「珈琲専門店の香り」のラインアップは「ブレンドコーヒー」と「クラシック」の2品。「ブレンドコーヒー」はコロンビアやメキシコなどをブレンドし、酸味とコクのバランスが良くブラウンシュガーのような甘みが特徴。一方、「クラシック」はブラジルやエチオピアなどをブレンドし、やや深煎りに仕上げたことで香ばしくやわらかな苦みとベリーのような余韻を引き出している。

商品名は、喫茶店らしさを打ち出すため喫茶店のメニューを参考にして考案された。パッケージデザインは「『喫茶店で読書をしながら味わう一杯』を想起していただけるように、本の表紙のようなデザインを採用した」という。40~50代の取り込みには、インスタグラムなどSNSを活用する。

これまで「キーコーヒー推し喫茶フォトグラムキャンペーン」を4~5月、5~6月の2回実施したところ、「『純喫茶』『昭和レトロ』の検索ワードが過去5年間、右肩上がりに増加し、特に21年は大きく増加した。写真の投稿も多く本当に注目度の高さを感じている」と振り返る。この注目度の高さに着目して、店頭では喫茶店をイメージさせるような期間限定の棚づくりを提案するなどの施策を予定している。