カゴメ 拡大する通販事業(下) オンラインセミナー拡充 試飲・調理会通して「絆」も

カゴメの「健康直送便」は、顧客の声や悩みがきっかけとなって生まれた商品が多い。それには顧客とのコミュニケーションづくりが重要で、同社はその一環として数年来、工場見学会やトマト収穫会、健康セミナーを行ってきた。しかしコロナの影響でそれが不可能となり、昨年からオンラインイベントを通じてコミュニケーションづくりに取り組み、大きな成果をあげている。そこでマーケティング本部通販事業部販売企画グループの佐藤恵里主任に聞いた。

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(オンラインイベントについて) 「健康直送便」は、お客さんの声や悩みから商品が生まれている。オンラインイベントそのものも、お客さんの声から生まれたものだ。これまで毎年、栃木県那須塩原の工場にお客さんをお招きし、商品ができるまでを見学していただいたり、ジュース用のトマト収穫、調理体験の場などを設けてきた。しかし、コロナでこれが難しくなった。

ある時、一人暮らしのお客さんから、こんな声があがった。「家族が訪ねてきて、家族と一緒に食事をすることが楽しみだったが、コロナでできなくなった」という悩みだった。そこで、当社の強みは食であり、食事を通じてお手伝いしたいと考えた。商品を使って楽しんでいただき、楽しい時間を過ごしてほしい。これがオンラインイベントの出発点となった。体験イベントもお客さんの声から生まれた。調理を体験し、それを食べることで話がはずむと考えた。

(オンラインイベントの狙い) 今年上半期はオンラインイベントを4回行い、コンテンツとオペレーションを模索しながら、いかにお客さんに参加してもらえるかを考えながら試行錯誤している。対面型のリアルイベントは費用対効果という側面からも多くの回数は開けない。しかし、オンラインはたくさんのお客さんに見てもらえる。お客さんの中には、SNSやYouTubeを使っている人が多く、参加できなかった人にも広がることがオンラインの良さだろう。

(具体的展開について) 最初のイベントは「『あじわうトマト』の試飲会」。内容は参加者の自己紹介から始まり、開発者による開発工程の紹介、トークセッション、クイズ、事前に送った新商品による乾杯、感想コメントなど。イベント終了後には、「カゴメが身近に感じた」とか「1人で飲むよりおいしく感じた」「お話が興味深かった」「参加者同士に仲間意識が芽生えた」「スタッフの皆さん、ご苦労さまでした」などの声があがり、「健康直送便」がお客さんに身近に感じてもらえた。イベントを通して、商品やサービスのヒントやアイデアも出た。参加者はシニア世代が多かったので抵抗感やハードルが気がかりだったが、これはクリアできた。(写真下記事続く)

オンライン料理教室(カゴメ健康直送便)
オンライン料理教室(カゴメ健康直送便)

2回目はオンライン「調理教室」。講師として料理研究家の高城順子先生に出演していただき、画面を通してオリジナルレシピを教えていただいた。参加者は画面を視聴しながらその場で調理し、最後に参加者とオンラインで食事会を行った。初めてzoomを使った人が多かったが、「楽しかった」「まるごと大豆の存在は知らなかったが、家族も絶賛した」などの意見があがった。オフラインの料理教室は首都圏近郊の参加が多かったが、オンラインは地方を含め参加者が広がった。

3回目は「防災セミナー」。今年は東日本大震災から10年目に当たり、防災に関する役立つ情報や当社通販商品の新たな食べ方などを知ってもらおうと、管理栄養士であり防災士の今泉マユ子氏を講師に迎えて通販顧客に向けたオンライン防災セミナーを開催。使いながら備えるローリングストックを啓発した。

6月には「健康セミナー」を開催した。当社の研究員による野菜と免疫に関する講演や商品開発の裏話など双方向で終始和やかなやりとりが行われ、全国から通販のお客さんが参加した。開催後、商品の信頼と納得感が深まったなどの感想があった。

(今後の展開) オフラインはお客さんとの接点が限られていたが、オンラインを活用することでお客さんとの接点や回数を増やせた。今後も引き続き、お客さんとの接点をもつ場を増やしたい。