シャトー・メルシャン 日本ワイン市場活性化へ「片丘」初ヴィンテージ

昨年のワイン市場はコロナ禍の影響を受けて前年比約10%減で着地した。飲食店の休業や時短営業などの影響もあり業務用は苦戦。ここ数年、需要が伸びていた日本ワインでも、苦しむワイナリーもある。ワイン大手のメルシャンは、自社だけでなく、日本ワイン市場全体の盛り上げが必要であるとして活動を展開する。

昨年、業務用比率が高い輸入ワインは市場を下回り約13%減だったのに対して、家庭用中心の国内製造ワイン(日本ワイン含む)は前年並みで着地し、他酒類と同様にワインでも家庭用が市場を下支えしている構図が見える。

日本ワインは、出荷量・ワイナリー数ともに増加を続けてきたが、約半数のワイナリーで営業利益が50万円を下回り、全体の97%を中小企業が占めている。コロナ禍で業務用が落ち込んでいることもあり、中小国内ワイナリーの中には苦境に立つところもあるという。

メルシャンの日本ワイン「シャトー・メルシャン」は昨年、5万3千箱(720㎖×12本/箱)、7%増と好調な動きを見せた。家庭用を中心に大きく伸ばし、日本ワインの価値が家庭用でも認められ始めているとみる。メルシャンらキリングループはCSV(消費者や社会と共有できる価値の創造)を掲げており、同社も「シャトー・メルシャン」のワイナリーを介した地域活性化などを目指している。中小ワイナリーが苦境に立つ中で、市場活性化策にも取り組み、SNSやオンラインを活用した施策を展開してきた。

ワインの情報発信で重視される英・ロンドンでは甲州だけでなく欧州系品種も順調に拡大しており、海外への情報発信も積極的に行っている。

国内では昨年「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル」を開催。今年も11月に開催し、オンラインで英国ともつなぐ予定で、グローバルブランディングを進めて、日本ワインの価値向上を図る考えだ。

欧州系品種では、長野県の片丘ヴィンヤードから初ヴィンテージとなる「片丘ヴィンヤード メルロー&カベルネ・フラン 樽選抜2019」など3品を9月下旬に直営ワイナリーやキリン通販サイト「DRINX」で発売。「日本を世界の銘醸地に」を掲げる同社は「産地『片丘』から世界で勝負できるワインを」と意気込む。

日本固有の品種では、1975年から取り組む「甲州」に注力。今年は9月下旬に山梨県の岩出ヴィンヤードの「甲州」を使った「岩出甲州オルトゥム2020」などを投入する。「ついに当社『甲州』の最高峰となるアイコンクラスのワインが登場した」と胸を張る。

ワインを通した産地への貢献も図る。今年3~4月までの日本ワイン51品の出荷1本につき10円を秋田県・福島県・長野県・山梨県へ寄付する。