PETボトル循環利用、国が積極支援 日経SDGsフォーラム特別シンポジウムで声明

清涼飲料水の業界団体である全国清涼飲料連合会(全清飲)は4月、使用済みペットボトル(PET)を何度もPETに循環させるリサイクル手法「ボトルtoボトル」の比率を19年の12.5%から30年までに50%へ高めていくことを宣言した。この宣言に対し「大変意欲的な取り組みであり、国としても積極的に支援していく」と笹川博義環境副大臣は声明。10日開催された日経SDGsフォーラム特別シンポジウムで代読された。

プラスチックの資源循環を推進する新たな法律として閣議決定された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」については「今国会(第204回通常国会)に提出しているところ」とコメント。

同法律案は①設計・製造段階②販売・提供段階③排出・回収・リサイクル段階――とプラスチック使用製品のライフサイクル全体にわたる包括的な措置。

この中でPETとの関係については「設計・製造段階においては、製造事業者向けに環境配慮設計指針を策定し、指針に基づく設計を国が認定して支援する。また排出・回収・リサイクル段階においては、製造販売事業者による自主回収を強力に後押しする制度を盛り込んでいる」と説明した。この声明に対し、講演した全清飲の米女太一会長は「PETを扱う産業としてプラスチックの資源循環に対し真摯に取り組んでいきたい」と語った。19年度のPET有効利用率は98%。その内訳はリサイクル量が85.8%、焼却時に発生する熱エネルギーの回収量(サーマルリサイクルの量)が12.5%。

「ボトルtoボトル」の比率を30年までに50%へ
「ボトルtoボトル」の比率を30年までに50%へ

全清飲では、この熱回収分をリサイクルのルートに移行してもらえるように自治体や消費者に働きかけるとともに、PET総回収量の54%を占める事業系回収の品質向上を課題としている。

事業系回収とは、自販機リサイクルボックスや工場・オフィス・交通機関などでの回収を意味し、「事業系回収できれいな状態で回収されると、中間のリサイクルプロセスが効率的に行われるようになる」。

リサイクルボックスに異物を入れないことも呼びかけ、米女会長は最後に「清涼飲料業界は社会を明るくする産業。安定供給に加えて、社会を今以上に明るく楽しくしていくことも業界の使命で、そのためにプラスチック問題へ真正面から取り組んでいく」と締めくくった。

続いて全清飲の河野敦夫専務理事は、事業系回収での回収量と品質向上を目的とした東京都との協働プロジェクト「ボトルtoボトル東京プロジェクト」の進捗を紹介。

東京都の古澤康夫環境局資源循環資源部専門課長は「PETを含めて水平リサイクルのさまざまな技術開発が現在進められており、このような革新的な技術の自走化に向けた支援というのも東京都としてはしっかり取り組んでいく」と意欲をのぞかせた。

東京プロジェクトに対しては「他のプラスチックで水平リサイクルを進める際にPETと同じような課題が出てくる。そういう意味でPETは非常に重要な事例」ととらえている。PET周辺素材でも環境負荷低減の動きがみられる。シュリンクラベルの水平リサイクルに挑むのはフジシールインターナショナル。

同社は19年にPETへの再生が可能なラベルを開発しアメリカ市場に投入。これにより、ラベルをはがすことなく再生PETの製造を実現。具体的には、回収PETの洗浄工程でラベルに使用されていたインキを分離し、インキのない透明なラベルをPETと一緒に再生する。現在、大手食品・飲料メーカーに採用されているという。

今後の展開について登壇した岡﨑成子社長は「実用化前で詳細は申し上げられないが、シュリンクラベルを完全循環型リサイクルさせるための技術確立に取り組み、廃棄せざるをえないインキも再利用に向けた開発を進めている」と述べた。