家庭用調味料 増える調理機会、簡単手作りニーズ拡大へ 連載・アンダーコロナキッチン第3章「新たなニーズ」〈3〉

2020調味料の支出金額の推移

調味料需要は大きく変動している。これは国内だけにとどまらない世界的な動きだ。企業の業績にも大きな影響をもたらしている。感染症の収束が見通せないだけに、需要や業績の先行きに対する不透明感も拭えない状況だ。

国内を見ても、業務用需要は外食産業の低迷と外食需要の縮小を受けて減少した。メーカー向けの加工用需要はまだら模様だが、外食向け業務用需要の減少は深刻だ。昨年秋にかけて回復局面があったものの、11~12月以降、第3波に見舞われ、需要環境は再び厳しさを増している。

家庭用需要は家庭内食や家庭内調理の広がりを受けて増加した。昨年春の急増局面を経て、夏から秋にかけても前年水準を着実に上回る動きを見せた。さらに第3波と再度の緊急事態宣言を受け、もう一段高い水準での動きになっている。

家計調査(消費支出)で過去一年間を振り返ると、家庭用の調味料需要は前年比で10%程度増加したとみられる。2月後半からは前年同期の水準も高くなる。しかし、10都府県での緊急事態宣言や外出自粛要請が続く以上、家庭用需要は当面、高い水準で推移する公算が大きい。

特に感染拡大の局面になると、カテゴリーの違いにかかわらず主要ブランド商品の需要が高まる。消費者にとっても、小売業にとっても、主要ブランドには安心感がある。当面は主要ブランド商品の安定供給が課題になる。

カテゴリーの違いに着目すると、本格手作りが広がっているとみられ、メニュー領域を問わず、基礎調味料の需要も増えている。これに対し、調理に慣れていない人を中心に簡単手作りが広がっているとみられ、汎用調味料、専用調味料を問わず、簡便調味料の需要も増えている。

アフターコロナの状況を予測することは難しい。ただし、テレワークが浸透して定着していることを踏まえると、在宅時間が増え、それに伴い家庭内調理の機会が増えていく可能性が高い。本格手作り、基礎調味料の需要が一定割合で残っていく反面、簡単手作り、簡便調味料の需要がさらに広がっていくとみられる。

調理に慣れている人、調理に慣れていない人を問わず、飲食店のテイクアウトやデリバリーを含む中食需要が増加していく可能性も高い。その一方で、手作りに楽しさを見いだしている人も少なくないようだ。簡単手作り、これに対する簡便調味料の需要への期待が高まっている。

メーカー各社の商品施策を見ると、時短・簡便調理をベースに、自宅では簡単に作れない味など、付加価値を持った簡便調味料を投入する動きが活発だ。特に外食や旅行を自粛せざるを得ない中で、外食の味、ご当地の味を提案する動きも目立つ。こうした動きが新しい需要の創造につながっていく可能性がある。