アサヒビール 消費者心理・行動が基軸 新生活を見据えた新商品

アサヒビール実績と目標 市況 2021

昨年のアサヒビールはコロナ禍の影響もあり業務用を中心に厳しい展開を強いられたが、今年は飲む人・飲まない人が相互に尊重しあえる「スマートドリンキング」を推進して新商品も展開。また、主力の「スーパードライ」から新たな価値を提供する新商品を投入するなどして活性化を図る。

昨年はビール類計で前年比84・3%だった。「スーパードライ」は78%と狭義のビール市場並みに推移した。4-5月は業務用のびん・樽が前年比8割減となり、その後、持ち直すものの12月後半には4割台に落ち込んだ。一方で缶商品に注力し、特に酒税改正によるビール減税後は「スーパードライ」が107%ほどになるなど成果も見られた。

今年は「主力ブランドの価値向上と新カテゴリーの創出で酒類の楽しみ方を提案し、新市場創造を目指す」を事業方針として掲げ、「ビールや酒の選択は、消費者にとっては些細なこと」など、消費者の心理と行動をありのままに見ることなどをマーケティングの基本方針に据えた。この背景には、マーケティング本部長を務める松山一雄専務らが口にする「お客さま主役の『統合型マーケティング』」がある。これは消費者の心理や行動を中心に据えてマーケティング活動を行い、数秒~数十秒ともいわれる、ブランド選択の「真実の瞬間」に驚きや感動、ワクワク感のあるブランド価値を提供するという考えだ。

そこで提案する「スマートドリンキング」は、新しい世界観に基づく酒類の楽しみ方だという。国連やWHOが掲げる、アルコールの有害な使用の低減といったことが背景にある。

また、20~60代人口8千万人のうち、日常的に飲酒を楽しむ人は2千万人といわれ、それ以外のうち約4千万人は飲めない、または飲めるけど飲まない人であり、約2千万人は月1回未満の飲酒とされる(同社推計)。この日常的に飲酒をしない6千万人の層に商機があるとみる。さらに、ニューノーマル下では健康志向の高まりからノンアル、低アルのニーズが上がるともみている。

この第1弾として、アルコール分0.5%の「アサヒ ビアリー」を“微アルコール(微アル)”という新しい概念で発売する。非醸造工程で作られるノンアルビールと異なり、まずベースとなるビールを醸造し、そこから複雑な発酵由来の香気成分を残しつつアルコールだけを抜き取り、コク感、ボディ感、クリーミーな泡立ちなどが特徴だ。3月30日に首都圏・関信越エリアで先行発売、6月29日には全国展開する。希望小売価格181円(税抜)。

新たな価値提案商品は「スーパードライ 生ジョッキ缶」だ。巣ごもりが続く中で、店で飲む生ビールが来た時の期待感や味わいを自宅でも楽しみたいというニーズがあるとみており、そこを満たすものとして、缶なのに泡が出る、香りを感じるといった物性価値と、ワクワクするといった情緒価値の両面で心を動かす商品だという。

缶フタはフルオープンタイプで香りを感じやすく、ジョッキのように飲みやすい。缶胴内側にはカルデラ状の凹凸をつけるため湧き出るような泡立ちが実現した。ガス圧も通常缶より高い。フタには、飲料缶では初となるダブルセーフティー構造を採用し、口・手が切れない構造だ。

発売日は4月20日。コンビニでは4月6日から。340㎖缶でオープン価格だが、通常の350㎖缶と同程度の売価を想定している。