スペシャルティコーヒーって何?「コーヒーの地図塗り替えた」国際品評会で勃興 丸山珈琲・丸山健太郎社長が徹底解説

「スペシャルティコーヒーとは、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底され、生産地の特徴的な風味特性と、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくような素晴らしいおいしさがあるコーヒー」。

日本スペシャルティコーヒー協会ではこのように定義している。

スペシャルティコーヒーの概念が確立され始めたのは2000年頃。それ以前、年商1千万円に満たない喫茶店を営んでいた丸山珈琲の丸山健太郎社長は「おいしいコーヒー豆について問屋や商社にいくらたずねても『分からない』という反応で、ずっと何かを隠しているのだと思っていた。しかし、結局のところ、単に『コーヒーの味覚基準がなかった』ということが分かった」と振り返る。

以前はメジャーコーヒーブランドが大宣伝をかけてコーヒーを売っていた時代で、味の評価は悪い味がないかの欠点チェックが中心だった。「『コーヒーはおいしくない』と思われることに危機感を覚えたアメリカを中心としたコーヒー協会がスペシャルティコーヒーという概念をつくった。おいしさを積極的に判断する際に参考したのがワインで特に欧米人は酸味を重要視する」と説明する。

90年代からワインのようにコーヒーの品質を評価する動きが出始め、1999年に国際品評会「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」が初開催された。それ以前にも品評会のようなものはあったが、国や組織が抱えるエキシビジョンマッチのようなもので、あうんの呼吸で評価されていたという。

COEでは「審査員は豆の形すら見ることはできない。豆の形だけで農園を特定できる人もいるため、挽いた状態でしか評価することができない」と厳正さを徹底している。

このCOEの開催がコーヒー業界にゲームチェンジを引き起こすきっかけとなる。「コーヒーの地図が完全に塗り替えられた。入賞すらできない大規模生産者がいる一方で、山の上に2haしか持たない小規模生産者が優勝し、Tシャツ姿で表彰されるような事態が続出した」と語る。

これにより、小規模メーカーやバイヤーにもチャンスが巡ってくる。優勝した優良生産者が農協などを通さず直接バイヤーと取引きするダイレクトトレードが起こり、メジャー企業以外にも門戸が開かれることとなる。

丸山珈琲の丸山健太郎社長
丸山珈琲の丸山健太郎社長

丸山珈琲もその一つで、丸山社長のコーヒーへの探究心がダイレクトトレードの波に乗っかり急成長を果たす。1千万円足らずだった年商は20億円近い規模に拡大する。

「COEという仕組みでルールが完全に変わった。それまで私は問屋から送られてくるファックスでコーヒー豆を注文していたが、COEによって商社や問屋を介さず直接生産者から買い付けることが可能となった。少しずつ取引量が増えていくことを生産者は重視しているので、その約束を守っていったら自然と規模が拡大していった」と述べる。

COEは各国で開催される。例えば、グアテマラとホンジュラスのコーヒーが競い合うことはなく、グアテマラの場合はグアテマラ国内のコーヒーが競い合うこととなる。ACE(エース)と呼ばれるNPO団体「Alliance for Coffee Excellence」がCOEを開催している。

日本でも沖縄や奄美諸島などでコーヒーが生産されており、仮に日本でCOEを開催する場合はACEに要相談となる。「ACEが興味を示せばヘッドジャッジが日本に派遣される。その際、受け皿となる団体が日本に必要になり、ヘッドジャッジが日本の審査員(ティスター)を中心としたチームをつくっていく」運びになる。

今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でCOEの開催中止が余儀なくされそうになったが、生産国側からの要望を受けて、新たにグローバル・コーヒー・センターズ(GCC’s)という仕組み設けて開催された。

具体的には

①生産者が生豆サンプルを世界6か所のGCCに送付
②各GCCで焙煎・カッピング・評価
③各GCC(ACEラボ)で10~15人のカッピングスコアを集計
④結果発表

――の流れで実施された。

GCCはアメリカ、ノルウェー、オーストラリア、韓国に1か所ずつ、日本では2か所が指定され、その一つに丸山珈琲も含まれる。

審査に携わった丸山珈琲は今年、エチオピア・コスタリカ・グアテマラ・ニカラグア・エルサルバドル各国でCOE1位に選ばれたコーヒー豆をすべて落札あるいは共同落札。12月15日には、エチオピアCOEで1位に入賞したエグセ・ゲメタ氏のロットを直営店舗とオンラインストアで販売を開始した。

コーヒー豆以外に、お湯に浸すだけで手軽にコーヒーを楽しめるコーヒーバッグもラインアップしている。

エチオピアCOEの販売を皮切りに、今年落札した各国のCOE1位のコーヒー豆も順次販売される予定となっている。