「ファイア」チビダラ飲みで一点突破 常温でもおいしい「ワンデイ」をコーヒーブランドの中核に キリンビバレッジ

キリンビバレッジは、好調に推移しているペットボトル(PET)コーヒー「ファイア ワンデイ ブラック」で掲げる「ワンデイ」のコンセプトをコーヒーブランド「ファイア」の中核に位置づける方針を固めた。

9月14日取材に応じた増田健志マーケティング部部長代理ブランドマネージャーは「将来は『ワンデイ』がブランドの中心になると考えている。今秋冬は『ワンデイ ブラック』の育成に注力し、来年はシリーズとしてみせていくことで認知拡大とトライアル獲得を図っていきたい」と意欲をのぞかせる。

「ワンデイ」は直訳すると“ある日”。

コンセプトは“いつでも、どこでもおいしく飲める”で「“一日中”と捉えていただいてもそんなにズレはない」という。

このコンセプトの下、「ワンデイ ブラック」は、ブラジル産コーヒー豆を100%使用した無糖のブラックコーヒーで、コーヒー感と飲みやすさを両立させて常温でのおいしさにこだわって開発され、19年4月に発売開始された。

チビダラ飲み需要に応える600mlの大容量ボトルも特徴で、時間をかけて飲まれることを想定して常温での味わいを追求。この点が、コロナ禍による家飲み需要の増加に合致し販売数量を大きく伸ばしている。

「持ち運びされて様々なシーンで一日中飲まれていることに加えて、在宅勤務による家飲み需要を新たに獲得した。600mlの大容量で常温になってもおいしくチビダラ飲みできる点が非常に受け入れられている」と述べ、その証左としてケース販売の好調を挙げる。

同社調べによると、5月4日から6月28日の期間、「ワンデイ ブラック」ケース販売の回転は、市場に出回る500mlPETコーヒー平均の倍近くの数字を叩き出しトップクラスとなった。

この動きも加味しコロナ禍を受けて今後再考を要するのは販売チャネル戦略だという。

増田健志マーケティング部ブランド担当ブランドマネージャー(キリンビバレッジ)
増田健志マーケティング部ブランド担当ブランドマネージャー(キリンビバレッジ)

「母数の大きい自販機がかなり苦しい状況にあるため、コンビニ様に引き続き注力していくとともに、自販機からスーパー・量販店様への購買シフトをしっかり捉えていく戦略変更は必要だと考えている」。

1-8月の「ワンデイ ブラック」の販売数量は、4月14日のリニューアル発売以降、回転・リピート率ともに昨年を上回る水準で推移し前年同期比20・4%増となった。

直近の8月は、コーヒー飲料市場と同様に販売が鈍化する局面もあったが、その部分を採用店舗の増加がカバーし2ケタ増となった。

4月のリニューアルでは、さらなる商品認知と新規ユーザーを獲得すべく、パッケージを中心に磨きをかけたものの、コロナ禍で予定していたTVCMを取りやめにしたほか営業活動も思うようにできなかったことが響き「リニューアルの認知がとれなかった」課題を残した。

一方、「午後の紅茶」とのブランド横断で3月から6月にかけて実施したLINEキャンペーンは、応募回数が昨年実績に対して27%増を記録し好評を博したという。

秋冬に向けては、新TVCMの放映に加えてキャンペーンを展開。「ワンデイ」によるブランド価値の伝達も視野に入れる。

「今後はブランド広告に近い形での『ワンデイ』の訴求も考えている。働いている人が前に進むことに勇気を与えるブランドとして独自性をより強めたプロモーションと連動して価値を伝えていきたい」との考えを明らかにする。

また「ワンデイ」のシリーズ展開については「“常温でもおいしい”がポイント。仕事中にマッチしたコーヒーという意味ではそこは切り離せないと考えている」と説明する。

キリンビバレッジが定めている「ファイア」のブランド・パーパス(ブランドの社会的存在意義)は「チカラが欲しい時、お客様に前に進む勇気を与える」。

このブランド・パーパスをより分かりやすく伝えるのが「働くってよろこびだ」というブランド・ステートメントとなる。

この方針の下、ショート缶(別称SOT缶)にも磨きをかけてブランド強化を図っていく。「挽きたて微糖」「ブラック」などの主要ショート缶は「“心に火をともす”ブランドとして、火によるおいしさがより伝わるパッケージに刷新して9月末以降順次切り替えていく」(大竹野晋平マーケティング本部マーケティング部ブランド担当主任)。

ショート缶の主要販売チャネルである自販機は、そもそもダウントレンドにある上にコロナ禍で人が集まらなくなったことで状況が一層悪化しているが「世の中にある自販機がゼロになることはなく、設置台数が飽和状態にあったのが整理され、売れる自販機が残っていく」(増田ブランドマネージャー)とみている。