コロナの影響調査 稼働率、家庭用と業務用が明暗 企業の3割「原材料調達を懸念」

一般財団法人食品産業センターは、このほど会員企業を対象に新型コロナウイルスの影響や国への要望に関するアンケート調査を行い、42社(大手37社、中小5社)から回答があった。

「従業員の感染状況」は、3割以上の企業に感染者が出ており、製造部門も出ているが、大半の企業は事業への特に大きな影響はなかった。「製造工場の稼働状況」は、現時点での稼働状況は家庭内消費が増加したことによる需要増により、通常よりも稼働率が高い企業が33%あった。一方、外食、レストラン、宿泊施設等の業務用需要の減や学校給食向けの需要減、各種イベント・行事の自粛により、通常よりも稼働率が低い企業が31%あった。

「原材料の調達」に関しては、69%の企業が「輸入原材料や国産原材料で確保できており、当面不安はない」としているものの、31%の企業は、「当面は大丈夫だが、輸入原材料が多く、世界的な感染拡大による調達不足が懸念される」としている。原料原産地表示の弾力的運用については、懸念しているほとんどの企業が、「調達先の変更が予想できないため、世界的な感染拡大が収まるまでは継続してほしい」としている。

「売上高と今後の見通し」は、現在の売上高は60%の企業が「感染拡大以前より減少しているが、減少は鈍化している」としているものの、75%の企業が通期では前年を下回る見込みとしており、そのうち1/3の企業は前年を大きく下回る見込みとしている。通期では前年を下回る見込みと回答した企業に、売上減少を見通す要因について聞いたところ、「外食、レストラン、宿泊施設等の業務用需要の回復は見込めない」をはじめ、「インバウンド需要の減」などさまざまな要因が見られた。

「コロナウイルスの感染拡大下における不公正な取引要請」については、一時欠品状態だった商品のセンター在庫の返品要請等不当だと思われる返品の要請が3件、需要急増にもかかわらず、発注数への全量納品の要請、補填要請等欠品に伴う不当だと思われる要請が2件あった。

「経営改善に向けての国への要望」について、補助金関係は回答した企業が少なかったが、6割が「持続化給付金、雇用調整金等の経営支援の継続、拡充」を要請している。税制関係でも、回答した企業は少なかったが、5割が「消費税の減税、納税猶予」を要望している。

アンケート結果をとらえ、家庭用と業務用の稼働率の明暗が明白になったが、村上秀德理事長は「食品産業全体でどうかは分からないが、利益率が落ちているとも言えそうだ」など語った。

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村上秀德理事長(食品産業センター)
村上秀德理事長(食品産業センター)

食品産業センターの村上秀德理事長は新型コロナウイルス感染症や環境問題への対応など「食品産業をめぐる最近の諸問題について」の説明会に先立ち、次のように語った。

「コロナ禍こそ環境等の重要性増す」 村上理事長

食品産業センターは、今年が設立50年の節目の年にあたる。この間、食品産業は順調に成長し、特にここ5年ほどは人口減少フェーズになったが、生産額は順調に維持している。

今年は、今まで経験したことのない新型コロナウイルス感染症が広がり、食品を国民にきちっと提供できるかが最大問題だったが、政府の緊急対策では食品産業は事業が継続できることが謳われた。センターでは、政府や会員団体とのやりとりを図り、会員の意見を吸い上げながら政府に要請してきた結果、相対的には安定的に食品が供給できた。サプライチェーン全体が努力した結果でもある。

コロナ禍で経済がどうなるか、新しい事態の中で食品産業はどう対応するかは個々の企業にとって大きな問題だ。コロナの時代だからこそ環境や安全など社会的責任への重要性が増し、これを経営に盛り込む企業こそが恐らく生き残るだろう。