消費、都市集中から地方分散へ コロナ禍で飲料の飲まれ方にも変化 サントリー食品・齋藤社長が戦略語る

日本・欧州・アジア・豪州・米州で事業を展開するサントリー食品インターナショナルの上期(1-6月)業績は、コロナ禍が特に日本の自販機事業と欧州の業務用事業に打撃を与えたことで減収減益となったが、ロックダウンや緊急事態宣言が解除された6月以降は回復基調にある。ただし、新型コロナウイルスの第二波・第三波といった不確実要因が多いことから今期の連結業績予想を取り下げ、消費の変化をいち早くとらえて第二波・第三波に耐えうる体制を整えていく。

5日、決算発表した齋藤和弘社長は、コロナ禍を受けた今後の方向性のキーワードとしてアジリティ(機敏さ・素早さ)とレジリエンス(弾力・回復力)を挙げた。

消費者の行動や買い場の変化をチャンスに変えるアジリティについては、既に世界中で起きているという消費の都市集中から地方分散への動きに迅速に対応していく考えを明らかにした。

「世界共通かと思うが、都心に出て働くということからリモートワークが増えたことに加えて、遠方に出かけず地元消費が増えている。消費が居住地域に分散し、そこでの需要が盛り上がるのはみえている。例えば欧州では、都心のカフェ・バールから地元のカフェ・バールへのシフトが起きており、そこにしっかり手が回ることが必要となる」と語った。

在宅勤務など家庭での滞在時間が増えることで飲料の消費動向にも変化が生じているという。

「家庭で今までのように大容量を食事のときに多く消費するというよりも、家庭でもオフィスと同じように一日中、コーヒーやお茶を仕事しながら飲まれることが起きている。これを受けて、飲み飽きないものをつくる必要がある。加えて、ストレスも顕著になってきており、ストレス対応の中でも健康的なもの、よりおいしいものと切り口はたくさんある」。

コロナ禍で健康志向が高まる中、トクホ・機能性表示食品など健康飲料にも着目する。

「オンライン会議で顔のシミが気になるといった話も聞かれることから自分の健康について否が応でも向き合わざるをえない。ダイエットだけではなく、健康生活全般に(需要が)くると考えている。さまざまな免疫などに関する技術や研究成果を持ち合わせており、今後は以前にも増して提案を加速していく」との見方を示した。

一方、レジリエンスの取り組みについては、コアブランドのイノベーション・構造改革のスピードアップ・弛まぬコスト削減――の主に3つを列挙した。

日本市場では「伊右衛門」「サントリー天然水」「ボス」の3ブランドと「伊右衛門 特茶」を中心とする健康茶に注力するとともに、自販機の構造改革をさらに加速させる。

木村穣介専務{サントリー食品インターナショナル}
木村穣介専務{サントリー食品インターナショナル}

自販機の構造改革では、引き続き自販機専用商品や高収益商品に加えて法人向けサービスの提案を強化していく。

日本事業を率いる木村穣介取締役専務執行役員ジャパン事業本部長は「オフィスや工場というのはクローズのマーケット。クローズのため自販機でどのようなお客さまが何を買われるのかが把握できる。そういう意味では過去とは違い、しっかりマーケティングができる環境が整っており、ここに注力することに変わりない」と説明した。

在宅勤務者が増えオフィスワーカーが減っていくことについては「自販機が1台だけ設置されている会社や工場は少なく、競合を含め複数台設置されている。お客さまが減っていく中で、その複数台の中での競争になり、人気商品を多く取り揃えた自販機や健康サポートできる自販機が残っていく」と述べた。