コロナ禍がハイブリット営業の転機に 基礎調味料が復活、免疫力で野菜飲料も カゴメ 山口聡社長

今年1月からカゴメの新社長に就任した山口聡氏。上半期(1~6月)を振り返り、「この半年は新型コロナウイルス感染対策に追われ、これに多くの時間がとられた」ものの、「早くから働き方改革の一環として、リモートワークなどの新しい仕組みを取り入れてきたため、今回の非常時でも混乱はなく、スムーズに切り替えができた」。

4月7日の緊急事態宣言後は、全部署の本部長をトップにリモートによるコロナ対策会議を毎週月曜日に開催。生産、調達、営業、SCMなどバリューチェーンの状況が確認でき、「全体が見渡せるようになった」と話す。

新型コロナが長期化し、ニューノーマルに伴う企業対応が求められている。同社は5月末に社内でアンケートを実施。在宅によって生産性が上がったと答えた社員は約半分に達した。「個々で考える仕事は在宅の方がはかどる。会議では事前に資料が共有できるため、会議に集中できる」など肯定的な意見があった半面、リモートによるコミュニケーション不足を懸念する声もあり、「今後、コミュニケーションをどう確保するか工夫が必要だ」としている。

「流通では当初、メーカーは来訪を控えてほしいというムードが強かっただけに営業は苦労した」と言う。そこで訪問商談とリモート商談を組み合わせた「ハイブリッド型営業活動」を計画しており、営業はお客さまを訪問するが、商品開発者等はリモートを通してパソコンで参加。また、コーポレートシェフがリモートで参加する新しい営業スタイルにもトライアルしている。

「営業部門のリモート比率はまだ低い。コロナが落ち着いても訪問営業はゼロにはできないが、すべてが訪問営業に戻ることはない」と言い切り、「元に戻したら、何のためにここ数か月間苦労してきたのかということになる」と言う。しかも営業は移動時間がないため労働生産性は上昇。「お客さまのニーズに応えながら効率についても考えて、ハイブリッド型営業を推進していく」考えだ。

新型コロナによりさまざまな需要変化が起こっている。「巣ごもり消費により内食率が上昇し、家庭用商品の出荷が増加した」。子どもの学校休校とも重なり、トマトケチャップやピザソース、パスタソースなど家庭内で調理をする傾向が高まった。「ケチャップなどの基礎調味料が、これだけ売れたのは初めてだと思う」。

健康志向や安全志向の高まりも大きな需要変化だ。「免疫力を高めるために野菜を摂りたいなどの意識が高まり、手軽に野菜が摂れる野菜飲料の売れ行きが伸びた」。6月から「野菜一日これ一本」において「野菜は、肉に合うのだ」をテーマにTVCMを開始。「機能を重視する男性が買い物をするようになり、購買行動が変わった」。好調な「野菜生活Soy+」も含め、店頭活動とリンクさせながら需要を喚起していく。

外食需要は非常に厳しく、「業務用の出荷は激減した」。そこでコロナが影響した外食店に対し、サイト内に「洋食エール隊」を開設して集客を支援している。テイクアウト向けのメニュー提案が受け入れられ、ホテルの朝食バイキングでは紙パック入りの野菜ジュースが売れ、「予想外の動きが出てきた」とし、「業務用は6月から少しずつ需要は戻っているが、もう少し時間がかかる」とみている。

同社は、1月から日本の野菜不足解消を目指す「野菜をとろうキャンペーン」を展開。この趣旨に賛同する企業・団体と連携して「野菜摂取推進プロジェクト」を発足したが、6月末までにプロジェクトには約20社が参加。7月末にキックオフする。

また、6月から従業員および株主に向けて野菜に関する知識や調理法などが習得できる「野菜マエストロ検定」を開始。従業員の検定合格者は1千400人を超え、株主も約2千400人認定した。「従業員や株主は最大の理解者であるため、今後も受検を呼びかけ、野菜の魅力を伝えるアンバサダーになってもらう」。

さらに、企業・自治体向けに野菜の大切さなどが学べる「野菜と生活管理栄養士ラボ」によるセミナーをWeb会議システムを使ってライブ配信している。

今後は「野菜の日」(8月31日)に向けて営業や広告を集中。「この展開が下半期の立ち上がりのポイントになる」。店頭チラシや、生鮮と加工品との連動企画なども積極的に実施。「野菜の露出量を増やす」。