進化する緑茶飲料 各社が新製法導入 後味や鮮やかな緑色など追求 “濃い系”にも脚光

緑茶飲料で大手各社から新製法を導入した新商品が発売される。

サントリー食品インターナショナルは、「伊右衛門」本体(緑茶)で発売以来最大となるリニューアルを行い4月14日から発売していく。リニューアルポイントは「淹れたての緑茶のような色、味、香りにこだわった」(サントリー)点にあり、中味は、香り成分や旨味が豊富と言われる一番茶を「伊右衛門」本体史上最大の比率で使用し、そのよさを最大限に活かした焙煎技術と抽出方法で、淹れたてのような豊かな香り・旨みと雑味のない穏やかな渋みを両立させた。この進化させた味を如実に表すのが鮮やかな緑色の水色(すいしょく)となる。

「これまでは茶色の水色だったのをフルシュリンクラベルで緑茶であることを強調していたが、リニューアルではロールラベルにして緑色の水色を前面に押し出した。我々の自信の表れでもある」と胸をはる。

メイン容量帯の600㎖PETと525㎖PETに関しては、ロールラベルをめくって水色をみてもらうための工夫も施されている。ボトル容器の4面には、招き猫・フクロウ・七福神・狛犬の縁起の良い絵柄を配し、ラベルの裏側にも8種類の絵柄をデザインした。

「伊右衛門」ロールラベルをめくると水色が見える仕掛けも(サントリー食品インターナショナル)
「伊右衛門」ロールラベルをめくると水色が見える仕掛けも(サントリー食品インターナショナル)

「あくまで水色をみてもらうための取り組みだが、副次的な結果として分別回収にも貢献できると考えている」。ボトル容器も刷新し、04年の発売以来続けてきた竹筒形状を見直し、肩部分に丸みをおびた新形状の容器を採用した。

新TVCMなど大規模マーケティングを予定し、中味は14年から展開している“四季作戦”を展開し、年間を通じて活動を強めていく。四季作戦とは、季節によって消費者の嗜好、飲用実態が変化し、味の感じ方が変わることに合わせた中味を提供するもので、春・夏・秋・冬の年4回定期的に中味を変えて発売している。

今年から通年販売する「伊右衛門 焙じ茶」も四季作戦を展開する。「焙じ茶」はこれまで季節ごとに数量限定で販売していたが、これを改め、一番刈番茶をベースに、新たに釜炒り焙じ茶を取り入れることで、すっきりとした味わいと軽やかな香ばしさが感じられる焙じ茶に仕立てて4月21日から発売した。

この動きに対し、トップシェアを握る伊藤園の「お~いお茶」は、4月20日に「お~いお茶 緑茶」をリニューアル発売し“飲み口から広がる香りと後味”をコピーに掲げてマーケティング活動を展開していく。

リニューアルした「お~いお茶 緑茶」と「同 濃い茶」(伊藤園)
リニューアルした「お~いお茶 緑茶」と「同 濃い茶」(伊藤園)

「どんな飲み物・食べ物でも後味が大事。後味に苦み・渋みや、少しでもおいしくないところが出てしまうと恐らく次に手に取ってもらえない。お茶の香りも重要」(安田哲也緑茶ブランドグループマネジャー)との考えの下、火入れと鮮度保持の取り組みを強化して中味に磨きをかけた。

火入れは、16年9月に立ち上げた「伊藤園 神戸工場」で“マイクロ波火入れ”の新技術を導入する。

神戸工場は「伊藤園 相良工場」に次ぐ荒茶仕上げ加工の工場で、ドリンク用の原料は両工場で仕上げ加工された茶葉を使用している。今回、マイクロ波火入れを導入することで香りを強化した。

具体的には「お茶には旨味に貢献する水分とそうでない水分の2種類がある。マイクロ波火入れで茶葉内部まで均一に温めてから火入れを行うことで雑味を取り除き、新茶以外の茶葉も新茶に近い甘い香りが引き出せる」という。

鮮度保持の取り組みでは、仕上げ加工した荒茶の在庫を極力無くし、飲料工場が必要とする量だけを仕上げ加工するやり方に移行。「仕上げ加工後は時間の経過とともに鮮度が損なわれるため、昨年から必要量だけを仕上げ加工して飲料工場に送るようにしており、今年は新茶の時期からこの取り組みを本格化する」。

このようにボリュームの大きい「緑茶」の基盤を強化した上で「濃い茶」「ほうじ茶」の順に取り組んでいく。

「濃い茶」は18年末頃から上昇基調にある。昨年、中味をそのままに機能性表示食品へと刷新し8月にコンビニ、9月から販売チャネルを拡大して発売して以降、前年同月比1・5倍の勢いで毎月拡大している。19年1~12月では2ケタ増となり今期(5~4月)1800万ケース突破を見込む。

刷新に伴い、パーソナルサイズの商品に“実は体脂肪を減らす”のPOPを付けたことで多くの新規ユーザーを獲得。「メインターゲットである40ー50代男性のユーザーも増やしながら、20、30代の男性や40代以上の女性といった新しいお客様にも手に取ってもらっている」。

新規ユーザーの中ではリピートの傾向もみられ、その一番の要因に、渋みとともに感じられる“おいしさ”を挙げる。「中味を全く変えずに機能性表示食品にリニューアルしたことが奏功したと思っている。機能を謳ったものは少し飲みにくくなりがちだが、『濃い茶』はそもそも自然なおいしさを追求しているため“おいしさ”の評価が高く飲み続けてもらえる傾向にある」と説明する。

体脂肪を減らす機能の認知度が今ひとつであることが「濃い茶」の今後の課題で、おいしさと機能を両立させた中味の訴求を強化することで、さらなる成長を目指す。

「綾鷹 濃い緑茶」(コカ・コーラシステム)
「綾鷹 濃い緑茶」(コカ・コーラシステム)

今年、この“濃い系”に新たに挑んでいるのが「綾鷹」(コカ・コーラシステム)で、3月9日に「濃い緑茶」を新発売した。

濃い味わいを求める消費者が増えたことが「濃い緑茶」発売の背景で、日本コカ・コーラの助川公太ティーカテゴリー緑茶グループグループマネージャーは「お茶に限らず他の飲料カテゴリーを含めて従来はスッキリとした味わいが求められたが、数年のトレンドを見ていくと、その反動が50~60代を中心に起きており、他の消費材でも濃い味やリッチな味わいを訴求した商品の反応が良くなってきている。若年層のスッキリ派と年配の方のしっかり派の二極化が起こっているように感じる」と説明した。

「生茶」(キリンビバレッジ)
「生茶」(キリンビバレッジ)

キリンビバレッジは、「生茶」発売20周年を機に「生茶」ブランドの特徴である“生”を再度価値化し、無糖茶市場での独自ポジションを確立すべく、中味とパッケージを刷新し3月3日に発売開始したところ出足好調。発売3日で120万ケースを突破した。これは16年の大幅リニューアル時を上回る「生茶」史上トップクラスの立ち上がりとなった中味は、従来のまる搾り生茶葉抽出物に加えて、社外秘となる生茶葉のはたらきによる新製法を採用することで、まろやかでコクのある味わいをそのままに、新緑のようなさわやかさと茶葉本来の甘みと香りを進化させたという。

全国清涼飲料連合会がこのほど公表した「2019清涼飲料水生産数量及び生産者販売金額」によると19年緑茶飲料の生産量は18年の過去最高を更新した。

健康志向の高まりで近年右肩あがりに拡大する中、昨年は7月の冷夏が痛手になったものの微増となり成長を維持。生産量は前年比0.3%増の296万9500㎘、生産者販売金額は0.7%増の4千504億900万円となった。金額の過去最高は05年の4千727億7千万円。

今年、市場で過去最高の販売金額が見込めると指摘するのは伊藤園の安田マネジャーで「健康志向の高まりを背景に各社も注力の構えであることから20年は間違いなく前年を越えて過去最高になると思う。1~3月も調子はいい。健康志向を背景に、緑茶飲料はさらに成長し続けていく」との見方を示した。

緑茶飲料市場 出典:全国清涼飲料連合会
緑茶飲料市場 出典:全国清涼飲料連合会