マスク国内製造を即決できたワケ 業種の枠こえたアイリスオーヤマの開発会議とは

アイリスオーヤマは3月31日、宮城県の角田工場にマスクの新生産設備を6月に稼働すると発表した。

マスク不足解消への政府の要請にいち早く対応したことになるが、その原動力は「ものづくりは目的ではなく、不満を解決する手段」(同社)と考えるユーザーイン発想にある。

商品開発は、素材やカテゴリーにとらわれた業種ではなく、業種の枠を超えた業態に視点を置き「生活者が必要としているものを届ける」ことをモットーとしている。

毎週月曜日に開催される新商品開発会議(アイリスオーヤマ)
毎週月曜日に開催される新商品開発会議

毎週月曜日になると、新商品開発会議が開かれ、商品に携わるすべての部門が一堂に会し経営トップがその場で即断即決する。

アイデア実現に向けては、初めに値ごろ価格を決め、商品開発・知的財産・応用研究・品質管理・生産技術などの各部門が連携する“伴走方式”の開発フローを導入することで、あらゆる側面から徹底的に検討されたのちスピーディーに商品化される。

1年間に発売する新商品は約1000アイテム。発売している商品数は約2万5000アイテムとなる。

もととなるアイデアは、“なるほど”“便利”を発想の軸足とし、開発者が生活者の代弁者となって考案。価格は、一般的な原価から利幅までを加算する足し算方式ではなく、はじめに値ごろ価格を決める引き算方式で設定される。

基幹事業は、LED照明・家電・収納・園芸・ペット・ヘルスケア・食品などのBtoC事業のほか、LED照明・スポーツ・建装内装などのBtoB事業。特にLED照明事業や食品事業への本格参入は、東日本大震災が契機となった。

同社は、東日本大震災の復興支援の想いから、13年にアイリスフーズと舞台アグリイノベーションを設立し、地元の農業生産法人とともに精米事業を開始した。

お米の鮮度とおいしさを保つ独自の低温製法を確立し「簡単・便利・おいしい」をキーワードに現代に合わせた提案を行うことでお米の消費拡大を目指している。

パックごはん商品(アイリスオーヤマ)
パックごはん商品

アイリスフーズでは、お米やパックごはん、もちの販売に加え、今年に入り、レトルトカレー、フリーズドライ食品、フリーズドライ味噌汁の3つの成長カテゴリーに初参入した。

2月下旬からは、スーパーやホームセンターなどで「スパイス香る欧風ビーフカレー」1品(レトルトカレー)、「雑炊」2品(フリーズドライ食品)、「すぐおいしい味噌汁」3品(フリーズドライ味噌汁)の計6品を順次発売している。

全品とも「保存性を意識し、どの商品も日々おいしく消費しながら保存にも適した設計となっている。お手頃価格で本格的な味わいも志向した」という。

レトルトカレー、フリーズドライ食品、フリーズドライ味噌汁の3つの成長カテゴリーに初参入した。(アイリスオーヤマ)
レトルトカレー、フリーズドライ食品、フリーズドライ味噌汁の3つの成長カテゴリーに初参入した。

同社は1958年、先代の大山森佑氏が東大阪にプラスチック製品の下請け加工をする小さな町工場「大山ブロー工業所」の創業からスタートした。

その後、息子であり同社現会長である大山健太郎氏が跡を継ぎ、1991年にアイリスオーヤマ株式会社に社名変更してその歴史を歩み始める。

80年代になるとオイルショックを乗り越え業態を転換。プランターやプラスチック植木鉢などの園芸用品でガーデニングブームを牽引していった。

90年代には“ペットはファミリー”というコンセプトを創造し卸売業者を介さないで販売するメーカーベンダーシステムを強化。

最大20 名同時に体温測定できる「ドーム型 AI サーマルカメラ」(左下)と、軽量で 容易に持ち運びできる「ハンディ型 AI サーマルカメラ」(右下)(アイリスオーヤマ)
最大20 名同時に体温測定できる「ドーム型 AI サーマルカメラ」(左下)と、軽量で 容易に持ち運びできる「ハンディ型 AI サーマルカメラ」(右下)

グローバル展開を加速させたのは2000年代からで10年には法人向けLED事業に本格参入。現在は、LEDに加え、テレビ・調理家電・空調家電・掃除家電などの家電事業を中心に、幅広く手掛けている。

直近では、新型コロナウイルスの感染症拡大の終息にむけて、非接触で体温を測定して識別する「AIサーマルカメラ」を4月20日より発売予定。その他、労働者不足や人件費の上昇を受け、小売店や物流倉庫、ホテルといった多様な場所で使用されることを想定しAIカメラ事業に参入し、4月20日から全38機種を発売する。

また食品スーパーに向けては、精肉用(赤身)、精肉用(霜降)、野菜・青果用、鮮魚用、ベーカリー・総菜用の5種類をラインアップしたLED照明シリーズ「FOODEE(フーディー)」を3月から発売している。