冷製スープ市場に本格参入 タンパク質ON系やカップ入り食品も強化 ポッカサッポロ

全国平均気温が上昇するとスープ市場の売上げは減少する――。

スープ市場は気温とこのような相関関係にあることから、地球温暖化をはじめとする気候変動が問題視されるに伴い、スープ市場の先行きも危ぶまれている。

「温暖化でも市場は活性化できる」と自信をのぞかせるのは、ポッカサッポロフード&ビバレッジの黒柳伸治スープ食品事業部長。

14日本社でスープ事業方針説明会を開催し、春夏施策の目玉として冷製スープ市場への本格参入を明らかにした。

同社調べによると19年スープ市場は前年比1.1%増の1千240億円と推定。このうち冷製スープ市場は1割にも満たないが、同社は認知拡大によってさらなる成長の可能性が秘められているとみている。

黒柳伸治氏(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)
黒柳伸治氏(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

冷製スープ市場は缶ドリンク・レトルトパウチ・インスタントなどの形態があり、総じて拡大傾向にある。中でも缶ドリンクは冷製スープのエントリー商品になりやすく市場創出に貢献しているという。

同社は12年にスープブランドの「じっくりコトコト」から冷製缶スープを発売したところ17年に急拡大して出荷量は8年間で約7倍となった。

この好調要因について「17年にはスーパーさまの常温売場での売上拡大が顕著にみられた。その理由を調査してみると、冷製スープの価値は冷たいことにあるのではなく栄養性にあることが判明。即飲できる小腹満たしや栄養補給、持ち運びできるモバイル性といった価値が受け入れられている」と説明する。

冷製缶スープには野菜汁も豊富に含まれていることから、黒柳部長は冷製缶スープが持つ小腹みたしや栄養補給の価値を、バータイプの栄養補助食品と野菜補給系飲料の中間にあると位置づける。

また常温でもおいしさを担保しているため、お湯などで溶かす必要がなくインスタントよりも簡便な点も特徴となっている。

これらの価値を伝えるべく、2月27日に「じっくりコトコト冷製コーンポタージュ」「じっくりコトコト冷製じゃがいものスープ」「じっくりコトコト冷製栗かぼちゃのポタージュ」の既存3品のデザインをブラッシュアップしてリニューアル発売するとともに、より栄養補給イメージを想起できるように「じっくりコトコト冷製トマトと9種の野菜スープ」を新発売する。

「『ちゃんとした食事がとれない』『時間に余裕がない』というお客さまに対して訴求していく」との考えから、「スープにしとこう!」をキーメッセージに掲げ、忙しい朝・調子が出ない日・暑い日のランチ――の3つの切り口でコミュニケーションを展開していく。広告グラフィックには横浜流星さんを起用した。

スープ市場の活性化に向けては、冷製スープの取り組みに加えて、健康意識の変化に対応した“ON”系スープや働く女性ニーズに対応したカップ入り食品も提案していく。

「きちんとチキン」シリーズ(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)
「きちんとチキン」シリーズ(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

健康意識の変化については「カロリー・糖質を減らすといった『なるべく摂らないことでスタイルを維持する』考え方から『積極的にタンパク質を摂ることでスタイルをつくる』考え方に変化している」と分析。この見方をもとにタンパク質“ON”系スープとして開発されたのが「きちんとチキン」シリーズ。

同シリーズは、大きくて柔らかい鶏ムネ肉が入ったカップ入りスープで「鶏だし白湯スープカップ」と「鶏だし中華スープカップ」の2品を取り揃え3月2日に新発売される。

具材は成型肉ではなく、そのままの鶏ムネ肉を乾燥した具材を使用し、特許出願中の独自技術で柔らかい食感や湯戻り1分を実現した。

働く女性ニーズに向けては、カップ入りの「じっくりコトコトこんがりパン」シリーズやカップごはん「リゾランテ」シリーズを強化していく。

昨秋、4つ目のスープ製造拠点としてサッポロビール仙台工場内にカップ入りスープの製造設備と粉末スープ顆粒原料の造粒設備を持つ仙台工場が稼働したことから、ラインアップ拡充の下地ができている。

「じっくりコトコトこんがりパン」では大きいパンの食べ応えを追求した「GRANDE(グランデ)」からは「明太子チーズ」、野菜補給ニーズに対応した「1食分の野菜」からは「完熟トマトチャウダー」をそれぞれ新発売する。

一方、「リゾランテ」からは「とろ~り濃厚チーズごはんカップ」と「とろ~りクリーミートマト」の2品を新発売。「リゾランテ」は、カロリー200kcal以下に抑えられ小腹満たしに好適な中身をコンセプトにしている。