加藤産業 7年ぶりの最高益 利益成長へ弾み

加藤産業の19年9月期決算は、増収増益になった。国内事業の好調に海外の卸売事業が上乗せされ、売上高が前年比5.4%増(540憶円)の1兆6千32憶円。利益は海外事業ののれん代償却の減少が寄与。経常利益が7年ぶりに過去最高を更新した。加藤和弥社長は12日に開催した決算会見の席上、当期総括と今期見通しについて語った。

「提案営業と物流を深堀り」加藤和弥社長

19年度は前年に比べて災害が少なく、10月の台風も当期に含まないため、狭間の1年を平穏無事に送れたという印象だ。毎月売上げが予算を上回り、堅調に推移した。

540億円の増収のうち、200億円弱がマレーシアの卸売事業の売上げ増加によるもの。前年度下半期から計上して、当期は1年分が上乗せされた。残り250億円が国内事業の増収で、特に飲料部門が帳合増により98億円、前年比5.8%伸長したことが大きい。業態別ではドラッグストアが二ケタ増、その次にディスカウント業態が好調だった。

事業別ではすべてで増収になったが、利益はまだら模様。常温、低温流通は微減となり、物流費や人件費が膨らんだ分、売上げ増加でほぼカバーできた。酒類流通は改正酒税法で大幅に改善できたものの、その反動で2ケタの減益になった。海外事業は前年の6億円近い減益から、のれん償却額2億5千万円が減り、マレーシア子会社の収益貢献が寄与。また、物流等その他事業が増益。トータルでは酒類事業のマイナスを海外とその他でカバーした。

経常利益は2012年以来、7年ぶりに更新した。その間売上げは着実に伸ばしてきたが、海外ののれん償却が重かった。ようやくなくなり、スタートラインに立ったという思いだ。

今期は控えめな事業計画を予想している。売上げが伸びる要素がなく、利益は情報システム費がかさみ、普通にしているとかなり厳しい。

増税による消費マインド低下が懸念されているが、今のところ実感がない。10月単月の単体売上げは前年同月比104%。関東エリアでは防災関連の特需が上乗せされていて、本質が見えてこない。11月もまだ何とも言えない。ポイント還元している得意先も、ヒアリング段階では大きなインパクトはない。

重点施策は今期も継続して提案営業と物流の深掘りに取り組む。営業に関して言えば、ウルトラCのような新しい施策はなく、これまでやってきたことをコツコツと続ける。物流もコスト上昇が止まらない中で、生産性を上げるかサービスレベルを見直すしかない。その二つを絡めることが大切だ。

海外は売上げだけで言えばマレーシアの貢献度が大きいが、今期は厳しい予測。利益で言えば、のれん償却は一段と減るため、収益寄与は高まってくる。ベトナムとシンガポールは金額的には変わりないが、ベトナムの方がマーケットの伸び率が高く、シンガポールは市場が成熟している。どの国でもやるべきことは、日本で小売業の帳合をもらうように、サプライヤー(メーカー)から帳合を獲得する努力をする。機能はマーケットによって異なり、どの国でどんなビジネスをやるかによって経常利益率が1~10%ほど変わる。売上規模よりも、利益率を優先で考えていきたい。